帯広コンテンポラリーアート 2011「真正閣の100日」

HAPPENINGText: Ayako Ishii

第一週は、帯広などを拠点に活動する3名の作品を展示。真正閣内の二間を使い、梅田マサノリが「透明な通路」を展示。

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梅田マサノリ「透明な通路」

気密性の高い素材に目に見えないもの、透明なものを閉じ込めた作品は、震災を経験した日本に気付きを促すものだ。また、床の間に展示された掛け軸とアヒルの羽を使った一見無垢なオブジェは、メキシコ湾原油流出事故への目配せであるなど、その視点は鋭い。

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半谷学

真正閣から望む池の上には、半谷学が麻ロープの廃材と竹竿を使い、アート活動を続けていると湧き出てくるという透明な喜びや楽しさを表現。葉や羽を模した作品が緑あふれる庭園の景色に溶け込む。『帯広には自由な作風に対して度量の深さがある。』と話す。

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吉野隆幸「心象覚B」

庭園を奥深く進むと、吉野隆幸のインスタレーション「心象覚B」が展示。戦前の東北地方で作られたという100個にものぼるリンゴ箱が使用されている。各々の心象風景と、真正閣の100年を内包した空間が同化して、新たな光となって見る者に訴えかける。100日を通じて展示されており、心象の移り変わりを記録する実験装置ともなりえる。

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寄木奈緒子 ダンスパフォーマンス「滲む」

多種多彩な現代アーティストが集う「帯広コンテンポラリーアート2011 ー真正閣の100日ー」は9月4日まで開催。真鍋庭園と真正閣を会場に、1週間交代で個人やグループが出展する他、期間中、毎週日曜日には、モダンダンスや詩の朗読などのパフォーマンスも実施。

同園内カフェ「ブルー・スプルース」では「BOX ART展」が開催され、参加作家のプロフィールとミニチュア作品が一覧できる。また、関連企画として7月18日からは市内のカフェ・ギャラリー「FLOWMOTION」を会場にした「帯広現代アートの記録展」も開催される。

帯広コンテンポラリーアート2011ー真正閣の100日ー
会期:2011年5月28日(土)~9月4日(日)
時間:10:00~17:00(入場は16:00まで。会期中無休)
会場:真鍋庭園 真正閣および庭園屋外
住所:北海道帯広市稲田町東2-6
入場料:大人500円、子供200円、真鍋庭園パスポート1200円(会期中何度でも入場可)
TEL:0155-48-2120
出品作家:半谷 学、梅田マサノリ、吉野隆幸、熊澤桂子、池田緑、伽井丹彌、相原正美、高坂光尚、高田K子、村上知亜砂、塩田晃、柏倉一統、橋本 勇、鈴木 隆、荒井善則、伊藤明彦、藤井忠行、佐野まさの(故人)、勝野好則、高橋英双(故人)、林 弘尭、田丸 忠、小川みち、鈴木順三郎、松井淳紀、阿部典英、柿﨑 煕、下沢敏也
https://tokachiart.jp

Text: Ayako Ishii
Photos: Yoshihiko Tobari

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