アリエル・ピンクス・ホーンテッド・グラフィティ

PEOPLEText: Victor Moreno, Sara Överengen

アリエル・ピンクの音楽はキャッチーでエキセントリックだ。彼は10年間に渡って8トラックレコーダーでのデモ音楽の可能性を模索し続けているが、自身のニューアルバム「ビフォー ・トゥデイ」こそ実際のデビュー作だと考えている。彼は今では(録音に)必要な機材を得ていて、さらにホーンテッド・グラフィティというフル・バンドを率いている。(イギリスの名門インディー・レーベル)4ADは、レコーディングのためにイギリスのプラッツ・ヨート島へと彼らを送りこんだ。磨きあげられた新曲のレパートリーを引っさげ、カート・コバーンのごとくブリーチした長い髪に、デヴィット・ボウイの様なきらめくメイクでアリエル・ピンクは演奏する。彼は最前列にいる観客の顔をなめる。自分の客が大好きなのだ。ツアースタンドにはCDの代わりに8トラックのテープが並べられている。会えてとても嬉しい。

Ariel Pink's Haunted Graffiti

以前は一人でツアーをされていましたが、今はホーンテッド・グラフィティと一緒ですね?

はい、ですが他のバンドとも共演していました。ホーンテッド・グラフィティとのツアーは2、3年になります。ちょうど今行っているツアーでは、私は歌うのみで演奏は全くしていません。

フレイミング・リップスとの最近のツアーについてお聞かせください。

ツアーではアメリカとカナダをまわりました。彼らは本当に素敵な人達でしたよ。ツアーは大成功で、素晴らしい経験になりました。ウェインはいい男で、ジョージ・クルーニーみたいな人です。

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ザ・キュアーがあなたのお気に入りのバンドだと聞きました。彼らのライブについてどう思いますか?

彼らの最近のライブは全く見ていません。私が好きなのは初期の作品なんです。彼らにはすごく会ってみたいんですけどね。実はロバート・スミスを共演に誘おうとしているんですよ。さあどうなることか…

ツアーはヨーロッパを一旦まわり、それからアメリカに戻って年明けに日本で行われます。ヨーロッパか日本で長くやるのは初めてですか?

一人でのヨーロッパ公演は何度も行っています。今回はホーンテッド・グラフィティと共にヨーロッパで一週間少し、それからアメリカへ戻り、L.A.で一ヶ月、そして年明けにアジア、つまり中国と日本で行います。その途中でオーストラリアとニュージーランドにも行きます。

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4ADレーベルのディアハンターとブロンド・レッドヘッドと日本で共演する事になっていますが、

ディアハンターとブラッドフォードには会った事がありますが、ブロンド・レッドヘッドにはまだですね。楽しみにしています。

L.A.を拠点にされているようですが、ここ最近はどこに住まわれているんですか?

ホーンテッド・グラフィティのメンバーの数人は近所に住んでいます。私はほとんどの時間をツアーに出ているのですが、L.A.に住んでいると思ってもらっていいと思います。でもL.A.にいる時はいつもリハーサルなんですけどね。

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アニマル・コレクティブ主宰のレーベル、ポー・トラックからリリースされましたね。当時と4ADにいる現在との違いを聞かせてください。4ADとの契約は自身にとってブレイクスルーになったと思いますか?

今も当時も何も変わりません。デモ音楽づくりを全て自分でしていた以前は、これがデビューアルバムの様な気がしていました。8トラックで録音していた以前は、もちろん色々な点で限界がありましたが、今では専門的な機材を使って録音できます。それまでは基本的に全てを自分一人でやっていたのが、今では演奏したりレコーディングをしてくれるミュージシャンがいて、全ての事がプロフェッショナルに出来るようになりました。

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それはリスナーにとってとても大きな違いになりますね。

前にも話した通り、今ではバンドがいます。以前は演奏もレコーディングも全て8トラックを使って自分だけでやっていました。今はもちろんバンドやプロデューサーがそれらの事をしてくれます。そしてもちろん時間はかかります。最新のレコーディングを終えるまでには時間が流れました。そしてもちろん物事も変わったんです。

あなたの音楽の強みのひとつは“時が絶っても色褪せないこと”だと思います。

ありがとう!(ビールを開けながら)私は改良と録音を重ねながら、一つ一つ曲のかたちにしていきます。一部分を録音したら、巻き戻し、そして次の部分へのアイデアを得る。それは算数みたいなもので、1+1をしながら曲を組み立てていくんです。アイデアを出しながら、そして時々間違えながら曲をつくっています。そのアイデアが頭に残っていればそれは使えるやつ、でも忘れてしまったら使えないやつという事です。だから忘れるという事も悪くはないんです。基本的にアイデアや間違い(それは時々意図的な間違いだったりもするんですが)を組み合わせていき、そして即興で流れをつくります。流れは大切です。もしうまくいかないのなら。 

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それが曲作りの全部ですか?

はい、私は曲作りを一人で行います。歌詞や構成は自分一人でやって、それからバンドと一緒にアレンジを加えていきます。時々カバーもやったりします。自分のレコードのためにロン・キャンピシーのブライト・リット・ブルー・スカイをカバーしましたね。私はいつでもものすごくたくさんのアイデアがありますが、覚えているやつだけがいいアイデアなんですよ。

今ちょっと思い出せないんですけど、突然ひらめいたアイデアを忘れないために、自分の留守電にそのアイデアを録音するアーティストがいました。

ええ、実は私も時々やります、でもそれと同じくらい留守電にかける事を忘れてしまうんですけどね(笑)。

Text: Victor Moreno, Sara Överengen
Translation: Yumiko Isa
Photos: Victor Moreno

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