KENSHIN

PEOPLEText: Akihiko Hamada

ヘアスタイリストとしての主な活動範囲を教えていただけますか?

現在はニューヨークを中心に雑誌エディトリアルページ、広告、ファッションショー等のビジュアル制作のチームワークを中心に活動しており、ニューヨークでは「L’ATELIER NYC」、日本では「EIGHT PEACE」というエージェントに所属しています。

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現在日本人エディター、田中了達氏の手がけるニューヨーク発「NEWWORK MAGAZINE」でのビューティエディターもされているそうですが、詳しい内容を教えていただけますか?

「NEWWORK MAGAZINE」は、ニューヨークを拠点に活動するデザインスタジオが発刊するファインアート、デザイン、ハイファッション、カルチャー、政治など多岐に渡りクリエーションを掘り下げるインディペンデントマガジンで、素晴らしいフィロソフィーをもとに構成、編集されています。

私の友人である、「STUDIO NEWWORK」の田中了達が中心となっているのですが、そのファッションエディトリアルのページのクリエーションをビューティーの観点から見つめ、現場等でディレクションの構成等を手伝っています。実際、撮影に入ってみなければ何が起こるかわからないことが頻繁にあります。最初から決められた予定調和的なモノではなく、それをいい意味で裏切るヘア、メイクアップ等の絵作りに書かせないディレクションを心がけているので、エキサイティングでスリリングな経験が多いですね。

その他現在進行中のプロジェクトはどういったものがありますか?

前述の田中了達と私自身のヘアの作品集を作っている最中で、全てにおいてイノベーショナブルなモノにしたいとコツコツと作品を作り込んでいます。

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先に行われた「NY 2011 S/Sコレクション」で、今回ニューヨーク初進出の「N HOOLYWOOD」、ニューヨークでも注目のロバート・ゲラーのヘアを担当されていましたが、エディトリアルページの撮影とランウェイショーなどのコレクションでのヘアスタイリングに違いはありますか?双方のクリエーションプロセスで重要な事は何ですか?

細かくいうと少しディビジョンが違う作り方を要します。技術的に限っていえば、エディトリアルページの撮影ヘアスタイリングは、ヘアという3次元世界の立体物のものを1次元下げた、写真というフラットな2次元世界の中で、3次元物として奥行きのある物に再構築して投影していく、という非常に高等な技術を要します。毎回、毎回変わるシチュエーションの中、経験と技術と勘をたよりに作り進めていきます。3次元世界で良かった物が2次元世界の中でワークするとも限らないですし、その逆もあるので面白い所でもあります。

ショーの場合は3次元世界のモノをそのままの次元で投影していくので、よりその場の空気感やエネルギー、髪の毛の動き等を封じ込め表現できるかという事に気を配っています。

双方に言えるのですが、私の場合はデザイナーやアートディレクター、フォトグラファーなどのコラボレーションする人とのコミニケーションの中で、はっきりとしたフィーリングを感じそれを軸にプロセスを大事に大事にヘア構築して行き、そこで産まれるグッドハプニングを逃さず取り込んでいく事で、常に成功を収めていっています。

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トータルイメージの中でのヘアの役割はどのようなものと思っていますか?
 
ファッション撮影等においてヘアの役割は常に大きく働いています。感覚的な事で言えば、ヘアは常にトレンドの中でのスタイルを表現しており、グラフィック的な事で言えば写真のスペースを埋めていくものであるからです。

それらは時にファッション撮影に置いては絶対的に大きな比重を占めている役割だと考えています。それは一般生活の中にもしばしば言えます。ヘアはその人となりを表すスタイルに大きな影響を及ぼしています。ファッションは、移ろい変わる一時的な要素が多くトレンドの事を示します。

しかしスタイルは衣服や、ヘアスタイル、話すこと、食べる事、読書、ユーモア、行動、などなど…においてであり、自分を表す一生のものなのでサロンでヘアスタイルを作る時は、その人を表現できるスタイルと言う物を提案する様にダイレクションします。

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