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KENSHIN

PEOPLEText: Akihiko Hamada

ヘアスタイリストとして多忙を極めるなか、 大阪中津にある「THE SALON」にてプロデューサーとしても参加されていますが、そこでは実際にどういった事をされていますか?

先ず「THE SALON」というプロジェクトは、私の友人と行っているヘアサロンなのですが、21世紀における美容室のあり方を探求していく中で、極端なコマーシャル化とビジネス化に伴い、フラット化する美容業界の在り方に疑問を抱き、本来の「美容」の持つパッションや自由さに触れたりした時の、根源的に心を動かされた純粋な感覚を羅針盤に、 全く新しいコンセプトのサロンとして活動しています。それは、この21世紀において、ヘアを生業として働く全ての人々への新しい価値観への啓蒙活動や、私たちが髪の毛をもとに生業とさせて頂いている恩返し的な活動を含め、今注目を受けています。

具体的には「THE SALON」の大きなディレクションを決めるプロデュースやインテリア、ウェブ、BLOG MAGAZINE、プロダクツの買い付け、イベント等のビジュアルに関わる管理やプロデュースを行っています。又、日本初のヘアドネーション団体「JAPAN HAIR DONATION & CHARITY」という非営利団体の立ち上げ、運営に尽力しています。

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THE SALON 2010イメージビジュアルをイラストレーターの田嶋吉信氏と制作されたようですが、一緒に制作するに当たったきっかけは何だったのですか?

「THE SALON」の広告ビジュアルの制作にあたり、2010年のテーマとして人間の自由で美しい精神性や未来への希望を示すもの“夢を見る者”が持つ希望に満ちた美しさの女性像を提案したく “DREAMER”というコンセプトを打ち出したのですが、その表現は画一的なモデルを使用した写真表現では得れないという考えに至り、「HAIR BEAUTY × ILLUSTRATION」との出会いによる新しい価値観にたどり着きました。そのプロセスで表現力のあるイラストレーターを探していたのですが、古くからの友人である田嶋吉信氏の新しいイラストレーションを見て、コンセプチュアルに表現できる彼にお願いしました。

「THE SALON」の次なるニュープロジェクトとして同じく田嶋吉信氏をクリエイティブディレクターに起用した「THE SALON A to Z」というアルファベットを軸にしたグラフィックアートを表現するプロジェクトを進行中のようですが、ヘアサロンがグラフィックアートを本格的に制作する事は画期的なことのように感じます。それについてはどう思いますか?ヘアとグラフィックに関わらずアートととの関係についてKENSHINさんなりの見解があればお聞かせ下さい。

これは2年間限定で行われる新しいプロジェクトで、我々にとってはチャレンジの一つとなります。しかしながら、最初からグラフィックアートを表現したかったという訳ではなく現在、メディアの多様化が進み、情報やイメージが容易に入手できる環境になっているにも関わらず、なぜか人々の意識は同じ方向に向かっているような気がしていてました。

例えば、ヘアサロンが打ち出すイメージが、トレンド一辺倒の画一的なクオリティーの無いものだったり、ファスト・ファッションに多くの人が群がる状況は、世界的経済不況や低価格だけが原因とは思えません。そこには自らが本当に感じたり楽しむといった創造性の欠如があるように思えてならないのです。

人々のフィロソフィーやインディビジュアルな考え方をあぶり出し表現していく場を「THE SALON」で作り啓蒙していくことができればいいなあ、というアイディアが最初でした。2010イメージビジュアルを担当した田嶋吉信氏とのコラボレーションで、イラストレーションによるヘアの表現の幅が広がると言う体感や、「NEWWORK STUDIO」とのコラボレーションで、グラフィックの力という物ををすでに体験していましたので、グラフィックアートという方向でも気負い無く「THE SALON」らしくできるのではという考えからです。 

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「THE SALON」が発信する「THEMAGAZINE」での役割についてKENSHINさんはどうお考えですか?

THE MAGAZINE」は「THE SALON」で働くスタッフ自らが発信するブログマガジンです。ヘアサロンとして、ただ最初は何かを発信できるブログマガジン的な事をやりたかったのですが、自分たちの日常を垂れ流した所で何も意味が無い様に感じてしまい、どうせならスタッフが日々業務以外でも感じたり気になる事柄等を発信した方が良いということになり、軸のテーマとして「21世紀の我々の歩き方とは?」という事を根底においています。

21世紀に入りもう10年以上経とうとしている我々は、21世紀に生きているに関わらず、今だ20世紀の生活様式を引きずっている気がしますが、「THE MAGAZINE」において、ART、CULTURE、SOCIAL、SOUNDS、FASHION & BEAUTY、PHOTO DIARY、INTERVIEW、これら7つのカテゴリーの記事を通して、21世紀の人々の歩き方のヒントを模索しています。

この「THE MAGAZINE」は、結果的にスタッフ自らのセンスに対するエデュケーションや、単純に面白い読み物となっており、自分達のエデュケーションツールやコミニケーションツールとして活躍しています。素人の書く文章なので完璧ではないのですが、、、現在、55号を越えてやっていくうちに、ぼんやりと形というか、匂いみたいな物が浮き上がりつつあります。

それはしばしば、マニアックだとか非日常的であるとか言われたりもしますが、スポットを当てている事柄は、常に自分たちなりの21世紀の歩き方に必要な事柄だったり、ヒントとなるものだったりしており、過去、現在地球上で起こっている事柄や出来事等を記事にしています。

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