横山裕一

PEOPLEText: Memi Mizukami

漫画家、美術家として活躍する横山裕一による大規模な個展『横山裕一 ネオ漫画の全記録 「わたしは時間を描いている」』が川崎市市民ミュージアムで開催されている。

今回横山氏にインタビューをするまで、横山裕一という作家がどんな人物なのかまったく想像がつかなかった。作品の印象的な背景、まるで瞬間を切り取ったような、全体的に広がる静かな世界観、そして一番特徴的な擬音の存在感。横山裕一の作品は、我々漫画が非常に近い所に存在している日本人にとって異質な存在である。だが、その素晴らしさは多くの人が知っている。

インタビューを始めようと、私が録音し始めると、『僕も録音して良いですか?』と彼が尋ねた。 沢山の素晴らしい作品が展示されている中で、一つ驚くものがある。彼が友人との会話を録音したテープの数々だ。それは学生の頃から録り始めたもので、食事や電話などをしているときに撮り溜めてきたそうだ。

横山裕一

録音したテープはどうしているのですか?

作業をしながら聴くんです。音楽は聴かないのだけれど。誰かと話しながら描くのが好きなのです。肩肘張らずに片手間ぐらいで作業する方が良いものが出来ます。

横山裕一
横山裕一 ネオ漫画の全記録 「わたしは時間を描いている」展示風景

今回の展示で一番大切にした事は何ですか?

このような大きな展覧会は初めてで、最後になるかもしれないから、もう大昔のも含めて全部見てもらおうという気持ちでやりました。

会場自体もまるでインスタレーションのようで面白かったです。

はい。周りの皆さんがアイディアを出して進めてくれました。僕はただ了解をするだけでしたが(笑) 。

Yuichi Yokoyama
「ニュー土木」

横山さんのことが書かれている物で、海外の物も良く見受けます。海外から評価が高い事についてどう思いますか?

なるべく色々な人に見てもらいたいので、あまり日本特有の物や感情的な物を用いず、不変的な物を描いているからではないでしょうか。あとはセリフもないですから。

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ペインティング作品展示風景「野獣とわたしたち」

今回の展覧会では横山さんの学生時代の油絵など、ファンとしても、とても興奮する作品が見られるのですが、今後はもう油絵を描かないのですか?

そうですね、描きたいとは思いますよ。でも趣味としてですね。絵画は自分の表現したい事を伝えるのが難しいし、先人達が沢山やって来た事を、今現在同じような表現でやる事にあまり意味を感じないのです。やっていてワクワクしないのです。その点漫画では、無人島に家を建てるような気分だった。このやり方はまだ誰もやっていないという確信を持って、自分の伝えたい事を制作出来た。でも、人の作品を見る事は大好きです。須田国太郎とかを寝るときに見ています。どういうわけだか彼の作品が非常に好きで、感傷的になります。

YuichiYokoyama
横山裕一 ネオ漫画の全記録 「わたしは時間を描いている」展示風景

どういうスタンスで仕事を行っているのですか?また横山さんのアイディアの源を教えて下さい。

僕は連載という形で制作していなくて、あまり賢いやり方ではないのだけれど、基本的には作品が出来たら持って行くというやり方でやっています。もちろん依頼されて描く場合もありますが。でも、時には媚びてしまうような事もあって、だから依頼ではなく純粋に描く方が良いし、そうなりたいです。

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横山裕一 ネオ漫画の全記録 「わたしは時間を描いている」公開制作の様子

身近なところで起こった瞬間や何気ない会話がアイディアになっていると思います。たとえば、マクドナルドで隣に座っている二人組の何気ない会話とか、無理な体勢で机の下に落ちたペンを拾う男性だとか、そういったことを漫画にしたいと感じます。今、次の作品を描いていて、まだ下書きなんですけど、言葉の面白さを表現するギャグ漫画に挑戦しています。なかなか難しいのですが、同じような事はしたくないんです。

ありがとうございました。では最後にコメントを下さい。

私の本を読んで下さい。買うでも借りるでも良いので、本を読んで下さい!

横山裕一は落書きと釣りが好きな少年のような人だ。ただ純粋に絵を描いているのだ。 今回の展示は、横山氏の今まで制作した作品と、彼自身を知れる非常に貴重な展覧会となっている。

横山裕一 ネオ漫画の全記録 「わたしは時間を描いている」
会期:2010年4月24日(土)〜6月20日(日)
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)祝日の翌日(土・日の場合は開館)
会場:川崎市市民ミュージアム
住所:神奈川県川崎市中原区等々力1-2(等々力緑地内)
TEL:044-754-4500
観覧料:一般 600円、学生・65歳以上 400円、中学生以下 無料
http://www.kawasaki-museum.jp
http://www.kawasaki-museum.jp/neomanga/

Text: Memi Mizukami

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