ツァオ・ヤン(EXIT A)

PEOPLEText: Ralph Yuu

曹陽(ツァオ・ヤン)はロックバンド「EXIT A」のリードボーカル。現在、北京に住み活動している。曹陽は私が知る数少ない中国国内のロッカーだ。中国の音楽産業において、私はやって来たばかりの新人といえるだろう。音楽の領域に現代美術の感覚や考え方をそのまま用いることはやはり不可能である。曹陽たちロックとエレクトロミュージックを仕事にしている友人と親しくなったおかげで、私は音楽産業やこのような音楽に、僅かながら入り込み、感じ、聴き方を学ぶことができた。

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曹陽のバンドは2007年に結成。様々な変動や入れ替わりを経て正式なメンバーが決定したのは2010年になってからだ。それにあわせ国内で大小いくつかのイベント、北京マッシュルーム現代音楽祭、西安曲江青年音楽祭、杭州西湖音楽祭に参加した。紅牛原創音楽コンテストでは2部門を受賞している。

曹陽率いる「EXIT A」の音楽はエレクトロミュージックがメインである。この音楽のジャンルは20世紀初頭の急速な技術の発展に伴って生まれた。エレクトロニクス時代に盛んになるタイプの音楽である。近代化学技術によってできた様々なメロディーを紡いだ独特で力強い音楽。クラシックのもつ上品さや、ジャズの音楽性とは違いエレクトロミュージックは今までにない衝撃や波を創りだす。ビジネスと経済の発展した戦後西洋社会において、人々の感情を発散する重要な方法の一つとなった。その結果、こうした音楽はナイトクラブやレイブカルチャーとの密接なつながりを持った。

最新のEPは既に私たちの頭の中で展開されている。歌詞の中で風諭したり横柄であったり真摯なトーンであったりする。それは曹陽独特の声と混ざり、世間に対する軽蔑の中に憧れの情を帯びる。ありふれた私たちの身の周りの噂話のようでもあり、理性と感情の波を歌っているようでもある。

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最初にあなたの最近の活動、曲やパフォーマンス等について教えてください。

グループのメンバー編成があったから、ちょうど今大々的にリハーサルをしているところだよ。新しく加入したのはギタリストの王鈺棋とベーシストの陳勁。中国のロックシーンを支持しているファン達は既に彼らをよく知ってるよ。問題児だから(笑)それと僕たちはもうプレレコーディングのセッションを開始しているよ。これはバンドの初リリースになるからね。僕らはアルバムEPに5〜6曲入れるように考えているんだ。プレレコーディングは張揚がするんだけど、レコーディング後のミックスを手がけるのは郭勁剛になるかな。僕らは多くの話し合いや議論を重ねて、プロジェクトのアイディアを沢山出した。それにいろいろな所を探して、僕らの音楽に最も合ったレコーディングスタジオもだいたい決めた。だからアルバムを出したらそれはもう凄いことになるんじゃないかって期待しているのさ。

それから、CDの他にリハーサル風景の映像を付けて発売するつもりなんだ。ライブ録音の未編集だから、アルバムバーションともいくらか違っているだろうね。

でも実際多くの技術とスキルがシングル作りに費やされているんだよ。ジャケットはアーティストの劉韡の作品「風景」で、デザインとレイアウトは由広煜にやってもらうんだ。僕が彼らの説明をする必要がないくらい2人は有名だよ。さあ、どんなに面白いものに仕上がるか想像がつくかい?

パフォーマンスといえば5月にメーデーフェスティバルに出演して、それに続けて北京海淀公園音楽祭でもするかな。もちろん当面は北京各地のライブハウスでの小規模パフォーマンスをしているよ。下半期には少なくとも国内ツアーをスタートさせるつもり。楽しみだ。

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