ジャン・ホァン「創世記」展

HAPPENINGText: Xu Yan

1994年に北京の芸術村でハエに覆われていた人を憶えているだろうか?代表作「12平方メートル」でパフォーマンスをしたジャン・ホァン(张洹个)は、この作品で賛否両論を巻き起こし、90年代中国を代表する現代アーティストの仲間入りを果たした。

ジャン・ホァン「創世記」展
英雄1号、2009年、牛皮、鉄、木、発泡、490 x 980 x 640 cm

当時、ジャンは、“生き残る”ということにおける“命”を表現するための手段として、自分自身を使うことに強い関心を持っていた。「12平方メートル」で、自らの身体をキャンバスにみたて、人が感じる人生に対する不満や、その逆で、人が持つ生存することに対する意志力を表現した。このパフォーマンスのすぐ後、中国のアートシーンから姿を消したジャンは、世界のアートの舞台に立つようになった。そんなダイナミックな文化圏で活躍の幅を広げ、自身やその周りの環境の限界を打ち破るため自分自身との挑戦をするようになる。そこで、彼は自身の原点に立ち返り、最新作となる展覧会「創世記」を開催した。

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宝塔、2009年、ブリック、鋼、豚の標本、高さ670cm、直径850cm

上海美術館で開催した「創世記」展は、ジャン自身が企画した展覧会で、5つの新作を展示。インスタレーションで構成された展覧会は、上海に存在した住居の廃材を再利用するというアイデアのもと制作された。3つの巨大インスタレーションの「創世記」、「宝塔」、「英雄1号」は、歴史や先住民族の文化をクリエイティブに表現したもので、中でも「英雄1号」は、牛皮を使用したシュールな作品。残りの2作品は、Ashペインティングの作品だ。

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大運河、2009年、香灰、400 x 1,200cm

3つの大規模なインスタレーション作品は、その圧倒するほどの大きさで1,000平方メートルある展示スペースをすっぽり覆い、観客にとって印象深い作品となったことだろう。特に、「創世記」は、都市の変革と郷愁の関連性について表現した作品で、原始的な形から高層ビルまで、都市変革の急速な過程を解体し、見る者に喪失感や記憶を思い起こさせる作品となっている。対照的に、寺の鐘のような形をした「宝塔」は、協調や平和が人々の中に共に存在する象徴として表現し、作品の中央に配置されたブタは強さを表している。さらに、「英雄1号」では、人生の厳しさに傷つきながらも人は希望を見出し続けると存在であることを、よくあるヒーロー像で表現した。

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創世記、2009年、ブリック、鉄、木、ポニーの標本、440 x 1,800 x 600cm

Ashペインティングに関しては、作品自体は中国の強制労働の記憶を呼び覚ますもので、ダム建設にかり出された人々のスピリットと自然の厳しさに立ち向かう様子が描かれている。素材やアプローチ法に関わらず、ジャンは作品では一貫して、環境の変化や人が持つ精神力とその結びつきについてフォーカスしている。

上海万博で開催される予定の「創世記」展で、もう1作「調和」を展示する。これは、2つのステンレススチールの鏡を使用した作品で、万博が焦点を当てているものでもあるパンダに捧げて制作したものだ。中国の文化や命に対するイデオロギーのシンボルを浮かび上がらせる2つの鏡でパンダを組み合わせようというもの。「創世記」から「調和」に至るまで、頂点に登り詰めたジャンは、“命と命の力”についての考えを明確なイメージでつくり上げている。

张洹个(ジャン・ホァン)「創世記」展
会期:2010年2月3日〜28日
会場:Shanghai Art Museum
住所:325Huangpi Nan Lu, Huangpu, Shanghai
TEL:021-63270997
http://www.sh-artmuseum.org.cn

Text: Xu Yan
Translation: Mariko Takei
Photos: Kenta Torimoto

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