デヴィッド・ラシャペル回顧展

HAPPENINGText: Kana Sunayama

テアトリカルな構成と原色に彩られ、あまりにも浮き足立った会場の雰囲気に圧倒されながらも、彼のファッションや広告の世界における写真家としての人気には納得できるものがある。やはりそこには私たちを離さない強い吸引力があり、作品を目の前にしてのインパクトは非常に大きいと言えるだろう。

デヴィッド・ラシャペル回顧展
Amanda as Andy Warhol’s Marilin, 2002 © David LaChapelle

H&M、バーガー・キング、アメリカドラマ「デスパレートな妻たち」などの広告や、クリスティーナ・アギレラ、エミー・ワインハウス、ブリトニー・スピアーズ、ノラ・ジョーンズなどのビデオクリップの制作、またローリングストーン紙、ヴァニティーフェア紙などの表紙を手がけるデヴィッド・ラシャペルであるが、今回の展覧会を開催するにあたって彼に付けられた「現代美術家」としての肩書きには、彼の作品のメッセージ性と共に首をかしげずにはいわれない。

デヴィッド・ラシャペル回顧展
The House at the End of the World, 2005 © David LaChapelle

パリの街中やメトロ構内などの至る所で広告が出された今回のデヴィッド・ラシャペル回顧展。その効果の成果か、はたまた大衆受けのしやすい主題を選んだポップな作品のせいか、会期中は夜まで長い列ができるほどの満員御礼の展覧会となった。日頃から現代アート業界に身を置く筆者としては、その悪趣味にしか思えない作品たちの洪水の前にひれ伏し楽しむ観客たちを眺めながら、「やはりアートの流行は勝手にできるものじゃなくてどこかの誰かによって作られるものなのか、、、」と深いため息をついたことは否めない。

デヴィッド・ラシャペル回顧展
会期:2009年2月6日〜5月31日
会場:パリ造幣局
住所:11 Quai de Conti, 75006 Paris
http://www.davidlachapelle.com

Text: Kana Sunayama

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