フェスティバル/トーキョー 09

HAPPENINGText: Wakana Kawahito

「あたらしいリアルへ」。

リアル(real)
意味:現実のこと。また、現実的であるさま。実物そのままであるさま。(大辞林 三省堂出版より引用)

リアルとは何だろう。現実的なものとはどんなものだろう。
フェスティバル/トーキョーは、そんなことを考えるための布石となりうる場であろう。
プログラムディレクターの相馬千秋が言うように、メディアが多様化し、情報伝達が高速化する今日、その空間、その瞬間を共有することでしか成立し得ない舞台芸術というのは、他の視覚芸術とは様相を呈している。この時代だからこそ、物事の限定性(=リアル)の力を信じ、検証していく場としてのこのフェスティバルは大きな意義を持つ。

フェスティバル/トーキョー 09
金柑少年 © Sankai Juku

フェスティバル/トーキョーは、東京都と東京都歴史文化財団が推進する「東京文化発信プロジェクト」の一環として始まった舞台芸術のフェスティバルだ。その前身は、1988年に始まった「東京国際芸術祭」と「東京国際舞台芸術フェスティバル」。それを引き継いだ形で、名称を「フェスティバル/トーキョー」として新たなスタートを切った。前置きもなく、行政の押し付けのような形で突如始まったわけではなく、時間をかけて徐々に舞台芸術の芽を育ててきたという点で、継続性が期待されるイベントだ。

フェスティバル/トーキョー 09
95kgと97kgのあいだ © 宮川舞子

記念すべき第1回目は2009年2月26日~3月29日の約1ヶ月間、東京の3拠点をメインとして開催される。
参加している劇団やアーティストの顔ぶれも蒼々たるもので、蜷川幸雄平田オリザといった日本を代表する演出家から、飴屋法水、イ・ユンテク、ロメオ・カステルッチ、リミニ・プロトコルまで幅広い。全部で19演目が公演され、このうち9演目は新作で、6演目はフェスティバルと国内外の劇団や劇場との共同製作、残りは参加作品である。また今回、プロの俳優ではない人々を舞台に登場させる作品を意識的に多く採用することで、新たな演劇の形をも模索している。これは言い換えると、フィクションにドキュメンタリー性を取り入れることによった「あたらしいリアル」の試みである。

フェスティバル/トーキョー 09
転校生 © 静岡県舞台芸術センター

スクリーン、絵画、モニター、紙など2次元の媒体を通して得る情報、それもいい。けれども、3次元の「リアル」には2次元とは違った“触感”のようなものを感じる。もちろん、実際には何かに触れているわけではない。その触感とは、目の前で生身の人間が肉体を使って自己の内面を訴えかけようとしている“熱”なのであろう。その熱量があふれる空間、その瞬間の“リアル”を体感することで、自分の中に何か沸々とわき上がるものが生まれるのを感じる。
どんなものを“リアル”と思うのか、それは人それぞれだろう。自分の目で自分の“リアル”を感じる瞬間は何物にも代え難い。

フェスティバル/トーキョー 09
会期:2009年2月26日~3月29日
会場:にしすがも創造舎、東京芸術劇場、あうるすぽっと他
プログラム:国内外から舞台芸術(演劇・ダンス)作品を19演目ラインナップ
主催:フェスティバル/トーキョー実行委員会
http://festival-tokyo.jp

Text: Wakana Kawahito

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