「ミニマム インターフェース」展

HAPPENINGText: Mariko Takei

ずばり本展の見所をおしえてください。

日本初公開の話題の「ReacTable」を含む、個々の作品はもちろん素晴らしいクオリティです。コンピュータの高速化によって初めて実現される「気持ちよい触り心地=インタラクション」を生で体験できる展覧会だと思います。インターフェースの触り心地や気持ちよさ、違和感などのセンシティブな感覚は、言葉を尽くしてもなかなか伝えることのできないものなので、ぜひ、展覧会場で体験してみて欲しいと思います。インターフェースという言葉は、今や、ありふれた単語になっているのかもしれません。しかし、それらはもしかしたらすごく狭い範囲に限定して使われているのではないか、と考えることもできます。今回の展覧会においては、具体的なマン・マシンインターフェースだけではなく、視覚や、皮膚感覚、空間の感覚といった複数のアフォードの入り口から、他世界や他者の存在への多様なインターフェースについてアプローチしています。「情報-世界-内-存在」としての人間は、本質的に何をインターフェースしているのだろうかという根源的な問いがそこにはあるわけです。ただし、難しい理屈は横においても、モノや情報の間に介在する「インターフェース」について、まずは身体的直観を使って体験するところからスタートしてもらえればと思います。

インターフェースのもつ多様性がアートやデザインに今後どのように関わっていくと思われますか(期待しますか?)

アーティストやデザイナーというのは、意識/無意識に関わらず、インターフェースと関わっていると思います。広い意味で、情報の伝わり方、伝え方についての研究の積み重ねが、これまでのアートやデザインの歴史と言っても過言ではないかもしれません。インターフェースのもつ多様性が拡張した結果、人間のもつ身体と情報の関係がより豊かになっていくことを期待しています。この身体感覚という、分かっているようで組織化されていない要素と、記号やイコンとの新しい位置づけや関係を見直していく、という挑戦をしていきたいと思っています。

YCAMが今後やっていきたいことなど、教えてください。

今後の日本の文化政策を踏まえると、地方都市に置かれた公共の文化施設として、背負っている責任は大きいと思っています。東京や大阪といった大都市圏以外の場所から、面白い試みが発信される施設として認知されるよう、これからもより一層がんばっていきたいと思います。小さなスケールメリットというものが逆にあるとしたら、それを生かすような試みですね。消費型でなく、クリエーションにシフトした活動がこれからは重要になると思います。

出品作家:久保田晃弘(日本)/セルジ・ジョルダ、マルティン・カルテンブルネル、ギュンター・ガイガー、マルコス・アロンソ(スペイン)/リーディング・エッジ・デザイン(日本)/ザカリー・リーバーマン、テオドア・ワトソン(アメリカ)/ダーン・ローズガルデ(オランダ)/シンチカ(日本)/クリス・サグリュ(アメリカ)/高尾俊介(日本)

「ミニマム インターフェイス」展
会期:2008年11月1日(土)〜2009年2月8日(日)
時間:12:00〜19:00(土日祝のみ10:00〜)
休館:火曜日(祝日の場合は翌日)/年末年始
会場:山口情報芸術センター[YCAM] スタジオB、ホワイエほか
住所:山口県山口市中園町7-7
TEL:083-901-2222
入場料:無料
http://minimum.ycam.jp

Text: Mariko Takei

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