「ミニマム インターフェース」展
HAPPENINGText: Mariko Takei
私達の持つ五感をフルに回転させることで得られるインターフェイスとのインタラクティブな関係。言葉を介さないミニマムな情報は、私達の感覚にダイレクトに呼び掛け、新たな領域へと誘い込む。山口情報芸術センター[YCAM]では、「ミニマム インターフェイス」展を開催し、コミュニケーションデザインをインターフェイスの視点から考える試みを行っている。
SHIFTは、YCAMによる本展のキュレートリアルチームにインタビューを行い、インターフェイスの未知なる可能性に迫った。
今回ご回答いただける方の自己紹介をお願い致します。
教育普及担当の会田大也(あいだ だいや)です。普段は、観客の方が様々な発見をしながら展覧会を楽しむためのギャラリーツアーの企画運営や、メディアについての理解を深めるためのオリジナルワークショップの企画などを行っています。
今回の「ミニマム インターフェイス」展においては、チーフキュレーターの阿部一直、アシスタントキュレーターの渡部里奈とともに、キュレートリアルチームを組み、共同でキュレーションを行いました。
11月より開催されているミニマム インターフェース展について、そのコンセプトや内容含めてご紹介ください。
情報化の進む現代社会においては、情報のやり取りに媒介する「インターフェース」の担う役割、特にユーザーインターフェースデザインの重要度が増しているといえます。今回の展覧会「ミニマム インターフェイス」展では、一歩違った視点から、このインターフェースについて改めて検証しています。
タイトルにある「ミニマム」という語が示すのは、形態のミニマリズムではなく、多様化するインターフェースの機能を、身体性との関係から絞り込み、限定的に提示することによって、インターフェースそのものの存在感を引きだすことを意図してつけたタイトルです。例えば、「言葉による情報量を極端に減らしていった際に残るインターフェースは何であるか」ということなどを、展覧会を通して考えています。
国内外から8組のアーティストの参加による展覧会となっているそうですが、それぞれの作品をご紹介ください。
本展では、8組のアーティストやデザイナーによる12作品を展示しています。そのうちの6作品はYCAM委嘱による新作となっています。
「Floating Compass」LEADING EDGE DESIGN
リーディング・エッジ・デザインは、ナビゲーションシステム「on the fly」とともに、アメンボをモチーフに、超撥水技術を用いて、水面というインターフェースに「触れる」微細な感触を表現した作品「Floating Compass」を展示しています。磁気化されているアメンボが水面上で回転する様子をご覧いただくことができます。
「Liquid Space 6.0」ダーン・ローズガールデ [オランダ]
続いて、オランダの建築家、ダーン・ローズガルデによる「Liquid Space 6.0」は、3本のアームをもつ有機的な形態をした高さ約4mのオブジェで、人が接近することにより、センサーがはたらき、その形態が微妙に変化するほか、LEDの色やサウンドが反応する、という作品です。
「Delicate Boundaries」クリス・サグリュ
ニューヨークを拠点に活躍するクリス・サグリュの「Delicate Boundaries」は、モニターに手をかざすと、画像の中の虫たちが手の触れた位置に集まりだし、次第に実際の身体上まで這い上がってくる作品です。形態検出、位置検出技術を用いてバーチャルとフィジカル、視覚と触覚の間にあるデリケートな境界を表現しています。
「lineup」(会場正面) 「H2Orz」(左) 「JSCO」(右) SHINCHIKA
「SHINCHIKA」は、京都市立芸術大学の卒業生や学生によって結成され、ネットでファイルを交換しながら作品を制作しているグループです。今回は新作を含む3作品を展示しています。2Dのイラストや3DCG、実写映像を駆使し、アニメ映像を制作しています。さらに映像の中でモデリングしたデータを、ペーパークラフトの展開図として、実空間のオブジェとするなど、2D/3Dの境界(インターフェース)を飛び超える作品を展開しています。
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