21世紀デザイン展

HAPPENINGText: Terevision Ruiz

この展覧会のタイトルが、本展のアイディア、そして内容の全てを表している、と言っても過言ではないだろう。一定の技術提案、双方向性、新しい素材などのグローバル化によって、新しいタイプのデザインが日々生まれている。現在の生活様式を探求する提案は、私たちを取り巻く新しいテクノロジー環境に適応させるために、それらを取込み、アップデートされる。


Tomato

デザイナーである、パコ・バスクのキュレーションで開催された本展は言わば、スペイン人はもちろん他国のデザイナーの作品を紹介する旅のようなもので、デザインとコミュニケーションにおいて注目すべき作品を見ることができる。

この展覧会には、トマト(イギリス)、スノークラッシュ(スウェーデン)、マーティン・アズア(スペイン)、カイル・クーパー/イマージナリー・フォーシーズ(アメリカ)、アルベルト・マルチネス(スペイン)、ヘクター・セラーノ(スペイン)、ドローグ・デザイン(オランダ)などのデザイナー達が参加しているが、ここでは愛国心によって、この展覧会に出品したスペインからの参加者達のプロジェクトを紹介する。


Martin Ruiz de Azua, “Basic House”

スペイン人デザイナー、マーティン・アズアの作品「ベーシック・ハウス」。空気のように軽く、使い勝手のいいこの家は、太陽熱によって膨らますことができる。金色の外面は寒さから、銀色の内面は暑さから守る働きを持っている。2x2x2m の金属製ポリエステルで作られたこのキュービック・バルーンの家は、簡単に折り畳め、ポケットに入れて持ち運ぶことも可能だ。これは、様々な緊急事態に活用することができ、例えば今日世界のあらゆる所で勃発している戦争によって被害を受けている人々や避難民が置かれている悲惨な状況の改善策にもなるだろう。


Alberto Martinez, “Arrow project”

もう一人のスペイン人デザイナー、アルベルト・マルチネスの「アロー・プロジェクト」は、私達がコンピューターを使う際に目にするアローカーソルを現実世界に出してしまおう、というもので、コンピューターの外で見られる人と物の間に発生する相互関係を研究する。アルベルトはこのような相互関係を、例えば卓上ランプをカーソルやダブルクリックで選ぶと点灯したりすることができる電気機器との関係、テーブルの上にある雑誌を選ぶとその雑誌のウェプページが自動的にあらわれるインターネット・アプリケーションとの関係、そして人と感情における関係の3つのグループに分類した。このアイディアで、多種多様なアプリケーションを開発できるだろう。


Hector Serrano, “The Super Lamp”

3人目のヘクター・セラーノは、「シエスタ・ドリンク・ジャグ」と、「スーパーポテト」という彼の2大代表作を出展。前者はスペイン固有の水差し(飲み物を冷蔵する伝統的な入れ物)のバリエーション。後者は、くしゃくしゃに丸めることができ、クッション、枕、はたまたストレス解消グッズとしても使用できるランプ。また、積み重ねることも可能だ。天然ゴムを構成している成分ラテックス、塩、そして蛍光灯で作られたこのランプは光の強さを変えることもできる。

Designing The 21st Century
会期:2001年10月4日〜12月2日
会場:Espai d’Art Contemporani de Castelló (EACC)
住所:Carrer de Prim, 12003 Castelló de la Plana, Castelló, Spain
TEL:+34 964 72 3540
https://eacc.ivc.gva.es

Text: Terevision Ruiz
Translation: Sachiko Kurashina

[Help wanted] Inviting volunteer staff / pro bono for contribution and translation. Please e-mail to us.
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