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大友良英

PEOPLEText: Yurie Hatano, Mariko Takei

フリージャズ、即興演奏、ノイズミュージック、現代音楽、電子音響、映画音楽など、音楽をめぐる世界中のフィールドで幅広く活躍する大友良英。2008年7月5日から山口芸術情報センター[YCAM]で開催されている大友良英による展覧会「ENSEMBLES」は、昨年1月にせんだいメディアテークで公開された作品をベースに、大幅にアップデートした改訂新作に加え、新作3作品含む4つの異なるインスタレーション作品を多角的に披露している。今までも、今回の展覧会でも、多数の人々とコラボレートしサウンドを紡ぎだし続けている大友良英氏からお話を伺った。

大友良英
「orchestras」オープニングライブ

これまでの活動について教えてください。

もう30年以上も音楽の世界に居て、一体何がバックグラウンドかは、自分でもわからなくなっています。でもあえて言えば、特に1960年代、子供の頃にテレビや映画、ラジオから受け取った音楽とコメディが私のルーツです。その多くは日本で「歌謡曲」と呼ばれていた20世紀の日本にしか存在しなかった異形のポップスです。そうした日本の音楽には、アメリカのポップスやジャズ、ラテン音楽やロシア民謡、ハワイアン、中国音楽等々の要素が、パワフルさと繊細さ、時にとんでもない無神経さで日本の音楽の中に入り込んでいて、大混乱をきたしていました。幼少時の無防備な身体にこの音楽の直撃をうけました。当時の日本を代表するコメディバンドであるクレージーキャッツは写真を見ただけで、今でもうきうきしてきます。

そしてもう一つは、60年代から70年代にかけてアンダークラウンドの世界で始まった日本のフリージャズとノイズミュージック。さらには欧州のフリーインプロヴィゼーション。これは思春期以降に強い影響をうけました。即興やノイズとの出会いが私の人生を変えたといっても過言ではありません。歌謡曲とノイズや即興、こういった音楽達がまぎれもない私の両親たちです。

これまでやってきた活動については、とてもこのスペースで書けるようなものではありませんが、過去20年は、一貫して音楽の世界と、映画音楽の世界で様々なことをやってきました。世間的には実験音楽とか、あるいはアバンギャルドの分野、時にジャズの分野に入れられて語られることが多いですが、本人にはそういうジャンルの意識はなく、ただ異なる語法の音楽それぞれに強い興味があるということにすぎません。無論どこかのジャンルに貢献しようという意識もありません。いろいろな音楽があってこそ世の中豊か・・・って思ってますから。一言で言えば、ひたすらライブと録音の現場を行き来しつつ世界中を旅した20年間でした。

フリージャズ、即興演奏、ノイズミュージック、現代音楽、電子音響、映画音楽など、多彩に活動されていますが、それぞれの分野に至った経緯は何ですか?

先ほど述べたように、それらの分野は、自分の中では別にジャンル分けなどされていない・・・ということです。語法の違いは、あるときは本質的な問題でもありますが、でも、それは、互いに互いを否定するようなあり方ではないし、そうあるべきではないと思っています。かつてよくあった、あるスタイルの優秀さをもちだして、ほかのスタイルを否定するような論調に対して、私個人はものすごい嫌悪を抱いています。自分にとって興味あるものをより知りたい・・・根本はそういう動機です。

もう一つ重要なのは、それらの出来事は、どれも決して一人でやっているのではない、ということです。興味深い人たちと、どう出会って、で、自分に何ができるのか・・・そう考えていたら、こういう風になったということかもしれません。理由はわかりませんが、ある一つのサークルの中だけで流通している価値観のみに縛られて何かを考えたりつくったりすることが、私はものすごく苦手で結局は、いろいろなところに、どんどん顔を出すことになってしまいます。おかげで、よく嫌われもしますが、でも、そうするのが私にとっては自分自身にとって誠実な方法・・・そんな気がしています。

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スティーブ・ベイカー
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