エリック・シウ

PEOPLEText: Josephine Sze Chan

香港出身の若きアーティスト、エリック・シウのクリエイティブマインドは、2007年よりニューヨークにて開花した。アジアン・カルチュラル・カウンシルの協力のもと、ロスアンジェルスに拠点のある、18ストリート・アートセンターでレジデント・アーティストとして活動し、その後ニューヨークのロケーション・ワンへ居を移した。彼のインタラクティブな作品は、テクノロジーと人間の感覚の融合により、観る者を新たなレベルにある体験へと誘っていく。「Sliding White」と題する彼の映像作品は、2005年の「世界ロボットオリンピック」のポートランド大会で上映。その他の作品も、アメリカ、オーストラリア、日本、韓国、ドイツ、中国といった世界各国にて披露された。

エリック・シウ

なぜ、ビデオを作り始めたのですか?ニューメディアを選んだ理由は?また、どの様に夢中になっていったのでしょう?

高校時代、僕は、デッサンに夢中でした。特に漫画です。それから、興味は、アニメーションに移っていきました。ちょうど、ボケーション教育大学の生徒だった頃です。(実はそこで、2005年から2年間教鞭をとっていました。)3次元とか2次元とかを飛び越えて、僕は4次元の探究を始めました。というのも、僕は、既存メディアよりも、自分の創造性で満足感を得るのが好きだからです。大学卒業後、香港の市立大学で、クリエイティブメディアのコースを取り、そこでは、ビデオ制作やアニメーション制作を、より芸術的で実験的な方法で始めました。メディアという特定の意味を定義するために、実験を重ねて「メディアアート」の概念を確立することに夢中になりました。

エリック・シウ

「eeyee」はあなたの最近の作品の一つですよね。観る人に何を伝えたかったのですか?

eeyee」は、以前作った「オプティカル・ハンドラー」の延長版みたいなものです。「オプティカル・ハンドラー」は、立体視覚イリュージョンの概念を用いて、モバイルな視覚を3次元の感覚で生み出したもので、新機能は、4つの液晶と4つのカメラから構成されていて、初期版よりもバージョンアップされたものです。4つの液晶は、2つで1セットで、右目部分と、左目部分の正面にそれぞれ並んで設置してあります。結果的に、この設定で脳が正常に機能しているとき、モバイル立体視が可能となるわけです。「eeyee」のぎょろ目は、それぞれ液晶が設置されていて、「eeyee」の目を通して、通りがかりの人に見てもらおうと、外に向けています。そうすると、ずいぶんと親しみやくるなるからです。

つまり、この作品は、体から視界を解放したのです。頭蓋骨の下に目があって見る、という行為が一生続くものだと思っていたのに、テクノロジーを通して、手のコントロールで視界を操作できるようにしました。

エリック・シウ

「eeyee」は、ユーザーに今まで味わったことのない視界を与えるのです。僕は、人々の驚きを描写したいし、どのようなリアクションをしたのかを観察したいのです。人々に予期せぬ喜びを与えて、考え方を変えさせたい。ある人は実用的な「eeyee」の使い方を提案してくれるでしょう。僕は時間をかけて、現在進行中のプロジェクトのように、「eeyee」を改良していこうと考えています。

どんなビジョンを持っていますか?

僕が思うに、アートは自分自身を理解するのに非常に役立つということ。作品を通して、何度も繰り返される表現方法に、思考の論理性を発見するのも面白いし、なによりも世間とずっと繋がっていられるからね。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE