マーク・ロスコ回顧展
フランスのオーディエンスがマーク・ロスコのミニマル・ランドスケープ作品に触れることができたのはこれで2回目で、ほとんどの人たちにとってはこの素晴らしいアメリカの画家を始めて知る機会となった。1回目の展覧会が開かれたのは1962年のことなので、パリを代表する老舗デパート、プランタン・パリの協力のもとに開かれたその大規模な回顧展にパリジャン達はエキサイトしていた。
パリ市立近代美術館で開催された本展は1935年から1969年の期間から選ばれた70の絵画で構成された。リアリズムからシュールリアルズム、抽象的な絵画まで、熟成した彼特有のスタイルが展開された。マーク・ロスコがポスト戦争時代の主要な抽象画家の先駆けとなった一人であると言えるだろう。
全ての形態、全ての絵画が分解され、オーディエンスを奇妙な瞑想へと導く限られたキャンバスへと形を変えている。その色に惹き付けられずにはいられないだろう。実際にはモノクロームの絵の具ではないのだが、それは確かに見る者に催眠術をかけ、身動きもできずに見つめさせるような秘密を持った色なのだ。
ロスコは禅仏教の思想に深く影響を受けたようだが、メッセージがあるわけではない。コミュニケーション・システムと言われるものを生み出したその思想家に対抗することも全く自由なのだ。彼は造形のうわべだけの幻想から解放され、最初の感情を差し出そうと試みた。パリでの展覧会は主にこの美学者によってインスパイアされている。
Mark Rothko Exhibition
会期:1999年1月14日(木)〜4月18日(日)
会場:Musee d’art Moderne de Paris
住所:11 Av. du Président Wilson, 75116 Paris
TEL:+33 (0)1 5367 4000
https://www.mam.paris.fr
Text: Anthony Augendre
Translation: Mayumi Kaneko