ロベルト・クォギ展

HAPPENING

興味深い活動を続ける1973年モデナ生まれのイタリアの若手アーティスト、ロベルト・クォギ。人気の所以は、彼の持つ「消失への意志」である。

Roberto Cuoghi Exhibition

Roberto Cuoghi in Louvres museum © Roberto Cuoghi

20代後半、抑制・鍛錬・自己形成というダンディズムとは相対する試行において、彼は父から衣服を譲り受け、それを着こなすため増量を行い、仕舞いには、自らを灰色の鬚髯を蓄えた60代そこらの禿げ男的風貌に仕立て上げた。健康への影響が無いとは到底言えないが、この自己変換の過程は、今でも尚彼の作品の基盤となっている。それは、どこかアンディー・ウォーホルの戯画的で超様式化されたアイデンティティ遊びを彷彿とさせる。


Roberto Cuoghi in Louvres museum

Pazuzu sculputure at Castello di Rivoli © Roberto Cuoghi

リヴォリ城では、アッシリアの神話に登場する生き物(1973年にはウィリアム・フリードキン監督のホラー映画の古典『エクソシスト』に登場した『パズズ』という悪魔)を、6メートルもの大きな像として展示されている。クォギは、ルーブル美術館の許可の下、数十センチ程しか無い実物の『パズズ』をレーザースキャンし、この巨大なコピーを作り上げた。未完成の階段の頂上に配置されたこの像は、美術館の前方に広がるピエモンテの谷を不気味に見渡しながら、「目には目を、歯には歯を」と言わんばかりに、この美術館の守り神としてそびえ立っているようだ。

Roberto Cuoghi Exhibition

Suillakku sound installation © Roberto Cuoghi

リヴォリ城の3階は、もう一つの作品、『シュイラック』が展示されている。この作品において、彼は、デジタル変換された莫大な数の楽器の音色と彼自身の声を用いて、老若男女人間の声を再現し、架空のアッシリア哀歌を作り上げた。先ほどの『パズズ』同様、悪霊を追い払う役割だ。その音は、精巧な音響システムを通して幾つかの部屋に分配され、それぞれの部屋を巡り終わって初めてその作品を完全に理解することが可能になる。コンセプチュアルな作品であると同時に、高い音楽的価値を持つこの『シュイラック』。ポストミュージックへの具象的関心や、音響の拡散作用の手段などの側面も強調されている。パンク・ダダイストたちの偽の伝統的民族音楽の産物を用いることで、他者性と根源性のカルトについて皮肉まじりに言及しているのかもしれない。『シュイラック』は、どこか不思議な美しさを持ち、決して忘れることの出来ない音楽の体験へと我々を導く。

Roberto Cuoghi Exhibition “Suillakku”
会期:2008年5月6日〜7月27日
会場:Castello di Rivoli(リヴォリ城)
住所:Piazza Mafalda di Savoia, 10098 Rivoli, Torino
TEL:+39 11 9565230

Text: Francesco Tenaglia
Translation: Tatsuhiko Akutsu

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