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東恩納裕一

PEOPLEText: Kazumi Oiwa

日常生活で感じたこと、そこに現れる説明不可能な違和感や不気味さをインスピレーションに、絵画、オブジェ、インスタレーションなどの作品を手がけるアーティスト、東恩納裕一氏。言葉では説明しにくい、複雑で曖昧模糊とした不気味なものが、作品というフィルターを通して、視覚的により鮮明に見る者に訴えかけてくる。最近では、世界最大のガラスに関わるアーティストのためのアワード「ボンベイ・サファイア・プライズ2008」で日本人初の受賞を果たし、5月16日よりカーム&パンク・ギャラリーにて開催される個展「refract!」を間近に控えた東恩納氏に、ご自身や作品についてお話を伺った。

東恩納裕一

はじめに自己紹介をお願いします。

東恩納裕一(ひがしおんな ゆういち)、アーティストです。アーティストって何なんのか、あいまいですが、絵画、オブジェ、インスタレーションなどを制作しています。

いつ頃から作家活動を始められたのですか?

現在に繋がるような作品を制作するようになったのは‘94年くらいからです。

作品は主に身近なものを使っていますが、なぜそれらに着目したのでしょうか?

着目したというより、気付いたら、それらが避けようもなく自分の身近にあって、さらに、それらは、自分にある種、説明しにくい複雑な感情を起こさせるものでした。

東恩納裕一
“untitled(chandelier-VII)” 2005. 125×110×99(h) cm, 蛍光灯、アルミフレーム、配線コード、結束バンド、安定器, ed.1/2 © Yuichi Higashionna Courtesy: Yumiko Chiba Associates

いろいろ作品を見させていただきましたが、やはり蛍光灯を使った作品はインパクトがありますね。この作品を作るに至った経路を教えてください。

ある時期から日本は “蛍光灯の王国” だと薄々思ってはいたのですが、蛍光灯をさらに意識的に使用するようになったのは、サークル型のランプが日本(の家庭)で独自に普及にしていることに気付いてからです。蛍光灯のシャンデリア作品は、そんな日本の“蛍光灯文化”にインスパイアされて、蛍光灯のモンスターをつくろうと妄想したのです。

私の頭の中の想像ですが、東恩納さんの作品が並ぶと頭に渦が起きます。とても不思議で、不気味で。でもなぜか落ち着く感じが頭に広がってます。東恩納さんは自身の作品に囲まれた時、どのような感情(感覚)になりますか?

自分にとっては、完成した作品よりも、制作のモチベーションの方が重要です。私の作品は、日常のなかで感じる“不気味さ”(フロイト)から生まれることが多いです。フロイトは、“不気味なもの”について、身近にあるのに疎遠…、通常は隠されているものが表に現れてしまった状態…、というように説明しています。これは、矛盾しているようですが、感覚的にとても腑に落ちます。

東恩納裕一
“dazzling & doodling”GALLERY at lammfromm(東京)© Yuichi Higashionna Courtesy: Yumiko Chiba Associates

作品はどのような環境で作られてますか? また何からインスピレーションを受けていますか?

制作は、基本的にはスタジオで一人で行う作業です(最近は、工場に発注などもしますが)。(くり返しになりますが)作品のモチーフは、日常のありふれたものばかりです。そのなかに、自分でも説明しにくい違和感や不気味さを感じて、それが制作のモチベーションになることが多いです。

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