姉川たく展「 YOU重力未訂正衛星 ねけだせれない」

HAPPENINGText: Takeshi Yamaguchi

2008年9月26日から、浅草ギャラリー・エフにて姉川たく個展、「you重力未訂正衛星 ねけだせれない」が行われる。

姉川たく展
© Taku Anekawa / phil co., ltd.

姉川たくは、「糸」をテーマに表現活動を展開しているアーティストである。キャンバスにドローイングやシルクスクリーンでグラフィックを描き、糸を縫い付けていく。その縫い方は、糸によって丁寧に彩色をしていく一般的な刺繍とは違い、あくまで直感的である。絡まり合う糸たち。キャンバスの外へ広がる糸たち。心の奥底に湧き上がる衝動を、糸を縫い付けることで表現しながらも、姉川が自身の作品づくりで目指しているのは、糸そのものの存在を問いかけていくことだという。

姉川たく展
© Taku Anekawa / phil co., ltd.

糸は私たちにとって極めて身近な素材であるとともに、つねに明確な目的のために用いられる。布を縫い合わせ、刺繍をし、何かを結ぶ。だが、糸そのものの魅力が充分に引き出されているかは疑問であると、姉川は指摘する。彼は糸という存在に惹かれ、その固有の意味を明らかにする表現方法があるはずだと考えてきた。

姉川たく展
© Taku Anekawa / phil co., ltd.

2004 年に糸を用いた創作活動を本格的に始めてから、姉川たくは何かに取り憑かれたように発表行為を続けてきた。国内外での個展の開催やグループ展への参加。ファッションブランドとのコラボレートによるライブ制作やショップでの展示。そして、雑誌メディアでの作品発表。彼は、デザイン会社の代表として、アートディレクションやプランニング、そしてイラストレーションを手がけている。デジタルコンテンツを得意とするクリエイターとしての評価も充分に高い。それなのに、彼はなぜアートとデザインの両輪で走り続けるのだろうか?

『根本的にモノづくりが大好きです。デザインはチームで作る。ディスカッションして、コミュニケーションしていくなかから生まれる。アートはもっと個人的で、自分勝手な考えを表現するモノづくり。僕は欲張りだからその両方がないとつらく感じるのです』

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