APMT(アパートメント)3

HAPPENINGText: Yoshihiro Kanematsu

APMT(アパートメント)は、クリエイティブポータルサイトCBCNETが主催するデザイン&アート・カンファレンスだ。毎回様々な分野で活躍する最前線の面々が登場、それぞれのユニークなセッションがいつも楽しみなイベントである。過去には「TENORI-ON」をいち早く披露してくれた岩井俊雄のほか、浜田武士セミトランスペアレント・デザイン、海外からもni9eウィーワークフォーゼムなどが登場。そのワクワクするラインアップとともに、日本でも有数のデザイン・カンファレンスといえるだろう。

APMT3

そして今年の11月17日に、「APMT3 – What’s your color?」が開催された。今回のプレゼンターも、未来派図画工作を主宰する鹿野護、ロンドンからハドソン・パウエル、ウェブを飛び出し始めたエキソニモ、タイポグラフィをおもちゃにした大日本タイポ組合、ニューヨークで活躍するペインター松山智一などなど、幅広い表現を手がけるツワモノばかり。横浜のBANKART1929を会場には約200名のデザイン・アート好きが集結し、肌寒い海風にあたりながら、おなかいっぱいのデザイン談義を楽しんでいた。

APMT3

まず最初は、映像制作集団WOWにも所属する鹿野護。「The 20th Century Voyage」や「HOTEL GADGET」など一連のスクリーンセーバー作品は、ランダムに展開しながら途絶えることのない時を刻む。だからこそ、一回しか見れないひとときの美が際立ってくるのだろう。「自分にとって価値のある作品とは何か、それは記憶に残ること」という一言に、鹿野氏のウィットに富む詩的な描写の核心を見た気がした。今後はさらに作家性の高いクライアントワークも意識していくという。「組織だからできることもあれば、個人でしかできない表現もある。」クライアントワークとプライベートワークを巧みに行き来する働き方そのものが、新しい時代のクリエイティブを示唆しているかのように心地よかった。

APMT3

2番目はロンドンからジョディ&ルーク兄弟によるハドソン・パウエルだ。タイポグラフィやバーチャルリアリティなど多様なバックグラウンドを持ち、グラフィックデザインから、アニメーション、インタラクティブなど表現の幅は広い。様々な大きさのスクリーン上で文字を最も読みやすい状態でディスプレイする「Responsive Type」もそうだが、彼らのデザインは領域をたやすく飛び超えてメディアそのものに働きかける。拾ったインプットをどう料理してアウトプットするのか、彼らに頼んだら何とかしてくれそう(しかも楽しげに!)という期待感を大いに感じるセッションだった。

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