地下展

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地下展 UNDERGROUND-空想と科学がもたらす闇の冒険

地下展 UNDERGROUND

地下の魅力を伝えるものとして近年内山英明さんの写真集「Underground」が注目されているが、はたして一般生活のなかで地下の事象について思いをめぐらすことがあるだろうか。
そんな、未知の領域に光をあてる「地下展 UNDERGROUND-空想と科学がもたらす闇の冒険」が先端科学にフォーカスし興味深い試みをおこなっているサイエンス・ミュージアム「日本科学未来館」で行われている。


地下展 UNDERGROUND

会場は発泡スチロールで作られていて、順路に従ってどんどん深い地下深度へ導かれる仕掛けになっている。発泡スチロールは70%以上がリサイクル可能だという身近にあるエコ素材。展示する度にでてしまう、ゴミの無駄をなくすため選ばれた素材だという側面からも、先端科学のみならず、地球環境にたいする、科学未来館の取り組みもうかがえる。

地下展 UNDERGROUND

展示入り口にはグルーヴィジョンズが手がけたアニメーションが、床に映し出され、宇宙から地球をどんどんズームインしていき、人々がマンホールを開けてこれから始まる地下世界への入り口を演出。今回の展示には様々なクリエーターが参加しており、地下への旅をなおワクワクさせる展示の仕掛けを担当している。また、音響面でも力を入れており、大友良英が音響のディレクションを担当し、イトケン、Sachiko Mなども参加している。会場各所で展示の世界観を増幅させる役割とともに、音響としての存在感はこれだけでも聴く価値がある。

地下展 UNDERGROUND

18のセクションからなる地下展は、深度に応じた様々な事象を紹介している。地下施設や資源について、また地下に存在する生物について現代科学が解き明かしている最深部の模様などが、見ていて楽しい展示方法で紹介されている。

地下展 UNDERGROUND

例えば東京の地下に広がる「大深度地下」にある「共同溝」とよばれる巨大地下通路。そこには、現代社会に生きる人々のライフラインを支える、水道、電気、通信が張り巡らされており、見えないところで我々の生活を支えている。人々に生活圏は上へ上へとそびえたつ高層ビルのみならず、地下へも可能性を見出しているのだ。

地下展 UNDERGROUND

また、地下は地球の中で比較的安定した環境であるという。そういった特性を利用した様々な試みが世界では行われている。ノルウェーにあるスバルバル島では永久凍土に覆われた地下に世界中の食物種子を保存するプロジェクトが行われている。スケールもさることながら、その“ノアの方舟プロジェクト”という名前を聞いただけでもうSFの世界だが、まぎれもなく現実なのだ。日本でも地下を利用した保存が行われており、1970年の大阪万博の時にタイムカプセルが作られ地下に保存されている。5千年後に開封されるそうだ。悠久の時間を感じるプロジェクトだ。
生命の起源についても、海水中で生命が発生したという説があるが、これとは別に、実は地下を形成する粘土鉱物が生命の素となる分子を結びつける役割を果たしたのではないかとする説も、この展示では知ることができる。

地下展 UNDERGROUND

当たり前すぎて気にも留めずに歩いている地面の下で、世界規模の営みが行われており、現在温暖化の危機が叫ばれる地球環境についても、宇宙から見下ろした景色とは別に地下から見上げてみると、全く別の地球像が浮かび、視点を変ることによって生まれる可能性を地下展は提示している。

地下展 UNDERGROUND

人知をこえた時間の流れをもっている地下には、上を見上げてばかりの人類が気づかない足元ではダイナミックな生命と地球、宇宙の歴史が紡ぎだされている。それはなお活発に続いているのだ。
最後に、「共同溝」工事現場事務所に掲げてある人類が持つ地下世界への畏怖が表現された五箇条を紹介しよう。
一、地球を感じろ
地底とは地球の胎内だ、内臓の中にお邪魔するという感覚で臨め。
二、土圧を知れ
地下空間は巨大な土の圧力の均衡で出来ている土の中の泡であることを認識せよ。
三、目を閉じろ
地底に下りたら目を閉じろ、そこにある闇と自分の中の時間を見つめよ。
四、記憶の体積を思え
想像を超えた時間の堆積がその空間に充満していることを想像せよ。
五、空を見ろ
地底から出たら空を見上げよ、その広がりを体いっぱいに吸って時間をはきだせ。
-ジオニストの為の地底体験心得五箇条より

まるで、アニメ「ラピュタ」にでてくるポムじいさんが言いそうな哲学的な言葉は、普段地底で作業する人々による実体験に基づいた言葉なのだろう。

地下展 UNDERGROUND

足元を照らす光のような「地下展」では、ゲストスピーカーを招いた「地下の達人に訊く!」などの興味深いトークイベントやその他の関連イベントが数多く行われている。スケジュールはウェブサイトに掲載されているのでチェックしてほしい。

過去と未来をつなぐ地下に一体何が隠されているのだろうか。

地下展 UNDERGROUND-空想と科学がもたらす闇の冒険
会期:2007年9月22日~2008年1月28日
開館時間:午前10時〜午後5時(入館は閉館時間の30分前まで)
休館日:毎週火曜日(祝日、冬休み期間は開館)、年末年始(12月28日〜1月1日)
会場:日本科学未来館
住所:東京都江東区青海2−41
TEL:03-3570-9151
入場料 :大人 900円、18歳以下 350円 団体8名以上:大人 800円、18歳以下 310円
※常設展示見学可
※障害者手帳所持者は当人および付き添い者1名まで無料
主催:日本科学未来館、朝日新聞
企画・制作:日本科学未来館
http://www.miraikan.jst.go.jp

Text and photos: Yasuharu Motomiya

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