ドークボット TΩKYΩ

HAPPENINGText: Yasuharu Motomiya

ドークボット」とはいったいなんだろう?という疑問が一度も行ったことのないものとしては頭にうかんでしまうのだが、行ったことがないのだからそんな疑問は当然だというのとは別にイベントのHPをみても中々実態がつかめないのと相まってさらにこの疑問は増すばかりで、情報としては “電気で何かおもしろいことをやっている人たちの集まり” ということと数人、多少知っている出演者が参加するということがこのイベントに対してイメージをできる材料だった。

すでに今回で5回目を向かえるというイベントが日本科学未来館で行われたのだが、開演時間は会場となっている日本科学未来館の閉館後であり入り口も正面玄関ではなく通用口を通らなければ入れないという、のっけから少し秘密めいた集会的な雰囲気があり、ホントにこの入り口であっているのか? という不安も、同じイベントに向かっているであろうそれらしき人を発見しなんとか確信を得るに至るという状況であった。

しかし、その状況も会場を見た瞬間一変する。その場所は日本科学未来館の屋上に中庭で、その日は残念ながらくもりだったが、見上げると晴れた日には一面の星が見そうな空が広がっていた。そこには、プロジェクターや照明、サウンドシステム、出店が整えられ、このイベントを目的に人が集まり、普段はビルの屋上としての存在する場が何か特別な出来事が起こりそうな期待感がただよっていた。建物内でもあり外でもあるという非日常的なこの場所でドークボットが行われた。

“電気で何かおもしろいこと”とは一体何なのかというのをコーディネーターのアートユニットのエキソニモでも活躍する千房けん輔が簡単に説明してくれたことを参考にすると、デジタル的な表現もさることながら昔から存在する、秋葉原的電気文化をよりアートと融合し、そこにアナログ的な部分も加味された電気的表現は面白く、「ラジオライフ」という電波マニアの雑誌のようにそういったマニアックな探求から生まれ出る作品を作っている人達の表現の場として機能するのがドークボットということだった。

宇治野宗輝は、身の回りにある様々な電化製品やターンテーブル、ギターアンプなどを改造しそれ自体が全て単なる演奏を可能にする楽器として存在するだけでなく作品として成立してしまうオリジナルの機材「ローテーターズ」を使用しサウンド・スカルプチャーと簡単にカテゴライズできないライブを行った。

「ローテーターズ」は、全てアナログの機材で構築されており、一切デジタルな操作は行われていないという。つまり、目の前で蠢く機械達の一挙手一投足がその時鳴っている音でもあり、機械特有の反復する音がテクノミュージックと同質の重なりあう反復するビートを生成する。これはサンプリングの技術やデジタル・テクノロジーの発展と同調してきた現在のダンス・ミュージックをそのルーツとしても存在するミュージックコンクレートと呼ばれた具体音楽の時にまで時間を拡張させかつビジュアライズ化し、さらにダンス・ミュージックのフォーマットに落としこむという一度に3つ位のことを同時にパフォーマンスしているといっても言い過ぎではないだろう。

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