上海コンテンポラリー・アートフェア 2007

HAPPENINGText: Wee Ling Soh

上海展覧会センター前で、1950年代のソ連共産主義を彷彿させるプロテストのプラカードを掲げた生徒達に出迎えられる。以前から心待ちにしていた上海コンテンポラリー・アートフェア 2007 (ShContemporary)。普段とは違った出迎えに少々戸惑いながら、生徒の列をぎこちなく通り過ぎていく。今夜はきっと芸術的な革命に出会えるのに違いない。

今回のフェアは、世界23カ国、130のギャラリーが参加し、アート・バーゼルの前ディレクターであるロレンツォ・ルドルフと共に、「Best of Artist / Discovery」部門では今年始めにクリスティーズで物議を醸したジュネーブ在住のギャラリスト、ピエール・フーバーのキュレーションによって実現した。

ShContemporary 07

ギャラリースペースはアートフェアーの形をとり、選ばれたアーティストに特別な焦点を置いている。「Best of Artists」にて、フーバー自身がアジア各地から選んだ15人の新鋭アーティストを、そして「Best of Discovery」では国際市場での活躍が予想される幅広い年代やジャンルから集まった20人のアーティストを紹介している。

実際に喧伝が功を奏する。幕を降ろしたアートフェアーには初日からの4日間で25,000人の来場者が訪れ、韓国系アメリカ人アーティスト、ナム・ジュン・パイクの彫刻が$450,000で取引されるなど、ディーラーやギャラリストに笑顔の絶えないセールスとなった。

ShContemporary 07

本フェアが、近年、中国で開かれる無数の展示会やアートショーと異なるのは、中国の現代アート作品単独で開催していない点であろう。奈良美智チョウ・ホァン(張煥)ヴィム・デルヴォワイエといった巨匠から無名の若手まで、数多くの欧米のギャラリーの参加があり、国際的幅広いセレクションとなっている。

多数の韓国のギャラリーを目にするのにも驚かされた。以前はそれほど注目をしていなかったが、中には目を引く作品も数々ある。例を挙げるのならば、イー・ベー(李英培)の見事なミニマルな白黒の筆遣いと雫といったように。

ShContemporary 07

来場者の一人、上海在住のエリック・ルルは写真作品を期待して足を運び、また彼自身も写真家であることを明かしながら、中国の若手写真家について面白い意見を話していた。

『これほど多くの若手中国人写真家が演出写真に比重を置いているのには驚かされた。ヨーロッパでは現実世界をドキュメンタリーに収めたり、解釈する手段を模索する傾向があるけれど、ここ中国では主に刺激的な演出作品が展開されている。こういった仮想現実の創造の流行を説明する術をどこに求めるべきなのかー中国政府の検閲の影響なのか、一つの表現手段とするべきなのか、もしくはそのどちらでもないのか?』

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