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「ワーム・ホール」展

HAPPENINGText: Yoshihiro Kanematsu

2006年初めに六本木にオープンした新たなギャラリー、magical, ARTROOM。このギャラリーから目が離せない。なぜなら、「マジカル」という微妙で絶妙な響きとともに、どの展示も飛び抜けて魅力的だからだ。

現代アートシーンを牽引するコマーシャルギャラリーと近いところにありながら、一線を画す存在感。それもそのはず、キュレーター陣の顔ぶれがものすごく面白い。市原研太郎、岡田聡、後藤繁雄、ヒロ杉山、吉井仁実。批評家×コレクター×編集者×デザイナー×ギャラリストが集まった新たな才能の発掘の場なのである。

現在開催中の「ワーム・ホール」展は、他のコマーシャルギャラリーでまだ展示を行っていないフレッシュな新人たちのグループ展である。パッと見て思わず吸い込まれ、プロセスを聞いて腰を抜かすような作品をつくるアーティストたちばかり。

どんな飛び抜けた奴らをここで紹介するのか、5人が集まるその会議では、けんかになることもしばしばだと言う。売れるか売れないか、作品にチカラがあるか、あるいは「マジカル」かどうか。それぞれの視点を持った彼らを唸らせる本物の新人は、ここのフィルタリングを通じて、日本へ世界へと発信していくのだ。

4回目となる今回は、写真家のうつゆみこと、アーティストのコブラという組み合わせ。キャットフードで作った曼荼羅や、ペニスを象ったにんじん、胎児のようなグミなど、夢に出てきそうな途方もないイメージをつくり出すうつさんの写真。そして、さりげない驚きとバカらしいほど美しい映像がコラージュされたコブラの映像。強烈な二人の作品が出会って、ひとつの忘れがたいインスタレーションがここにはあった。

ギャラリーのマニフェストにこうある。

『全ては差異であり、それが他の全ての差異と係わり合う。その一つが変化すれば他の全てが変化し、それらの間で分離と結合を繰り返す。そうした緊密な関係で編まれた流動的で開かれた迷宮、すなわち内在性の世界をわれわれは信じる。その世界の様相は、外在性すなわち物理的因果関係によって必然的に打ち固められた世界のそれとは決定的に異なる。そこでは “マジック” のように、計り知れない驚異がわれわれを待ち受けているのだ。』

力強さを秘めた内側の部分が、“マジカル” をインタフェースに突如飛び出してくる。だからこそここにいけば、「今」が見えてくるのだ。そして今、アートは確かに面白い。

今月中旬にはエンライトメントのデザインによるマジカル・マグも発行される予定だ。メディアをテンポよく横断しながら、確信犯的にmagicという手段で問いかける。来年はどんなファンタジーを魅せてくれるのだろうか。ますます目が離せない。

WORM HOLE episode4
会期:2006年11月18日〜12月16日
時間:11:00~19:00(日・月・祝日休廊)
会場:magical, ARTROOM
住所:東京都港区六本木6-8-14 コンプレックスビル1階
TEL:03-3470-3750
http://www.magical-artroom.com

Text: Yoshihiro Kanematsu
Photos: Yoshihiro Kanematsu

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