ライジング・サン 2006

HAPPENINGText: Miwako Nakazawa

皆この二日間のために何を考え、どう過ごしてきたのだろう。出演アーティストが発表される度に一喜一憂した人、キャンプ準備に忙しかった人、様々な想いを胸に全国各地から集まる人々。目指すのは今年も開催の決定したライジング・サン・ロック・フェスティバル (以下ライジングサン)の会場だ。

1999年の第一回開催から8回目を迎えた今年、参加者も年々増え続け、二日間で延べ6万人が集まったそう。用意された「サンステージ」「アーステント」「レッドスターフィールド」「ムーンサーカス」「グリーンオアシス」「ブラックホール」「ボヘミアンガーデン」7つのステージが東西南北に広がる会場は、大自然の中、音楽が溢れ、美味しいものに溢れた素敵な空間だった。

会場に入って最初に配布されたゴミ袋は、昨年のライジングサンで回収されたペットボトルをリサイクルしたもの。さらに会場内にはいたるところにごみ回収ボックスが設置され、ボランティアの協力のもと、去年からは十三分別が徹底されている。

18日金曜日。皆の不安をよそに、雨は降らなかった。しかし雲行きが怪しい。13時ごろ到着。まだ十分に時間はあったが、すでに入り口からは人が溢れていた。15時のライブ開始を待ちながらそれぞれの時間を過ごしている人々。ゆったりとした時間が流れていた。フードブースへ向かう。他にはどんなお店があるのか、どんなイベントがあるのか、会場内を回っているうちに、15時が近づいた。

「ムーンサーカス」では瀧見憲司のプレイが始まる。小雨が降る中、気持ちよさそうに踊る人々。瀧見憲司のサウンドを堪能し、その場を後にした。会場のいたるところで次々と歓声がわき起こる。ライジングサンの始まりを感じた。

次は「サンステージ」のくるり。「東京」「ワンダーフォーゲル」「ばらの花」などベストアルバムを出したからか、名曲ばかりのセットリストだった。メンバー全員が黒マントとハットで登場し、会場を沸かせた。しかし雨は弱まるばかりかいっそう強くなる。それでも、次々と人が集まり、皆思い思いにその心地よい音を楽しむ。

「コメディとアートと音楽を融合させた非日常空間」をテーマに昨年から登場したコメディテント「ブラックホール」を訪れた。円形のテント劇場を思わせる中は入った人にしかわからない。コメディクラブキング with エンライトメント、エレキコミック、ムーグ山本や宇宙レコードなど。音楽だけではなく、映像、アート、コントにパフォーマンスなどが行われた。エレキコミックは入場制限がかかるほどの大人気だった。

そして「サンステージ」のザゼン・ボーイズに熱くなった会場をさらに熱くさせたのはシークレットゲストの椎名林檎。登場した瞬間に大歓声。二曲はあっという間だった。

「ムーンサーカス」に移動。ここは踊るというよりもむしろ、まったり、ゆったり、音を聴く、といった大人な感じだった。ROVOは、単純にかっこよかった。夜になって「ムーンサーカス」の本領発揮。鮮やかな映像と照明に幻想的な音楽が野原で真夜中に起きているというのが織り成す独自の世界に引き込まれた。

観客は各ステージを自由に行き来し、時には出演するアーティストも観客となり、一緒になって楽しむ。北海道でしか作れないフェスティバルだと思う。移動途中にはアミューズメントスペース、物販、フードブースが並び、店員の元気な声がとびかっている。

札幌のPROVOによるブース群は「サンステージ」の横にあり、各ライブの合間のつなぎをDJ&VJが盛り上げる。 PROVOが提供するグリーンカレーも大人気。未来路工房の照明オブジェや、おなじみ横山美和のメイクブースなど、北海道のアーティスト達が独特の空間を作り上げていた。予告無しのサプライズで行われた車上でのタップダンス、早朝にはヨガも。

夜中の1時、ユニークなサウンドで1日目を締めくくったのがバッファロー・ドーター。ステージ「レッドスターフィールド」で、最新アルバム「ユーフォリカ」からの曲を披露。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE