パオラ・レゴ

PEOPLE


テイト・ブリテンにて、20世紀後半から現在にかけて重要なブリティッシュ画家を紹介する小展覧会シリーズが始まった。最初に取り上げられたのはポルトガル出身の女流画家、パオラ・レゴ。その作品はテイト・ブリテンやサーチ・コレクション、はたまたナショナル・ギャラリーのレストランの壁画として展示されているので、見たことのある人も多いだろう。

1935年にポルトガルで生まれたレゴは、幼い頃から絵の才能をみせた。1952年から56年、ロンドンのスレード・スクール・オブ・アートで学んだ。卒業後、結婚し住まいをポルトガルに移すが、ロンドンのスタジオで制作するため行き来する生活が続き、現在もロンドンで精力的に活動している。

初期の作品から一貫して物語を元に描いている。毒を盛った肉で野良犬狩りをする「Stray Dogs (The Dogs of Barcelona)」や植民地アフリカにおいてポルトガル人が行なった黒人狩りを自身の家族生活に関連づけた「When We Had a House in the Country」などのコラージュ作品は現実の政治を元にしている。


Dance, The Dance 1988. Purchased 1989 Copyright: The artist

その後キャンバスにアクリルで描くようになり、画風も写実的へと、劇的なまでに変化した。家族をモデルにした作品は、女性が主題である場合が多い。とはいえ、綺麗でかれんな、添え物的な女性ではなく、がっちりとした体格で、強そうな表情をし、街で会ったら通りをあけたくなりそうな恐そうな女性たちである。「ダンス」(1988年作)では、ポルトガルの浜辺で月明りの下、優雅に踊る人々がみられる。女性が人生を通じて経過するそれぞれの節目(娘-結婚-出産)を描いているという。そして左手に他の人物たちとは桁外れに大きい女性が1人でたち、画面の外にいる我々の方を向いている。伝統的な付随的立場としての女性である自分を意識し、それに対し抵抗しているようだ。そんなステレオタイプの女性の生き方を問うような女性像を、80年代繰り替えし描いている。


Pillowman, The Pillowman, 2004 (Triptych) Copyright: The artist
Courtesy: Marlborough Fine Art, London Ltd.

現在はキャンバスにパステルの三部作形式が多い。しかし画材が変わっても、事実なり、虚構なり物語が作品の根本にあるのはそのままだ。制作行程で作家自身の経験が入り発展し、仕上がった作品は元の物語とはすぐに判断がつきにくい場合もある。例えば最新作の「ザ・ピローマン」(2004作、3部作)は今年の春、ナショナル・シアターで上演された同名の舞台が元になっており、その登場人物(枕で作った人形であるが)を取りあげている。三部作の右側の絵にはレゴの孫娘(グリーンのトップを着ている)が登場し、その背後に掛かっている布はレゴが亡き夫が生存中、床を共にした時に使用したものである。

長方形の一部屋を3つに仕切った会場に、制作時期を追って展示している。それぞれがアクが強く、見るものを引込むパワーを放っているのに対し、全体の作品数が少なく感じられた。もっとどっぷりレゴ・ワールドに浸り、これでもかというほど見たかった、という思いで会場を後にした。そしてここに展示されていない作品をみるため、他の美術館を交えての「レゴ巡り」がしたくなった。

パオラ・レゴ・イン・フォーカス展覧会
会期:2004年10月27日〜2005年1月2日
会場:テイト・ブリテン
http://www.tate.org.uk/britain/

Text: Sari Uchida

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