カールハインツ・シュトックハウゼン

PEOPLEText: Roberto Bagatti

ミラノの非常に美しい大聖堂にてコンサートとビデオを組み合わせたイベントが行なわれた。1366年から1485年にかけて建設された、この威厳ある華やかな北部ゴシック様式の大聖堂は、ミラノで最も象徴的な場所の一つ。中央部分が45メートルもの高さを持つという点から考えても、最も素晴らしい開催場所の一つと言えるだろう。

ドン・ルイジ・ガルビニの芸術的なディレクションのもと、国連難民高等弁務官事務所の後援とイタリア聖公会の文化プロジェクトの協力で、音楽界の歴史において最も重要な作曲家の一人、カールハインツ・シュトックハウゼンと、今日の最も強烈なビデオアーティストとも言えるビル・ヴィオラの作品が織り成す、忘れられない夜が実現した。

幸運にも、そのイベントが行なわれる日の朝、カールハインツと実際に会う機会に恵まれた。あるホテルのロビーでのひととき、とても刺激になる話を聞くことができた。

今日、全般的に音楽の傾向として(ポップからアバンギャルドなものまで)基本的にエレクトロニックなものが多いですよね。ご自身がエレクトロニック・ミュージックを始めた頃と比べて何が変わったでしょうか?

あなたが言う通り、今は様々な音楽のスタイルが受け入れられていますが、どんなミュージシャンも、前衛的な音楽からシンプルなものまで、私の頃は何が良いものかという判断は常に階級的でした。その点は、私が長年関わっているラジオでも大きく変わりましたね。レコード会社は常により幅広い顧客層を獲得しようとしのぎを削っています。私が音楽を始めた頃は、ある音楽は常に少数派にしか受け入れられなく、また別のタイプの音楽は常に人気が出るという状況がありました。

私は、昨日までそこにいたのですが、ケルンのラジオ局で働いていて、聖歌隊やオーケストラのために大作をミキシングしています。昔は、長ければ長いほど良いとされていたので、ものすごく大変な仕事でした。今は、何が良いものかというのは階級的ではないと思います。

現在の音楽にある最も重要な問題点は何でしょうか?

どんな作品においても、驚きがあり、革新的そして新しい体験を発見できるような、音楽の世界を創造することです。その音楽を通して、何かを諭したり、精神を養ったりすることができるような。


Karlheinz Stockhausen “Helicopter String Quartet” 2003

近年、自身の音楽の中で、様々な方向性を打ち出してきましたよね。その中で最も大切に考えていることは何ですか?

先程も触れましたが、新しい作品全てに、自分自身はもちろんその音楽を聞く人にとって未知な音楽の世界を創造することです。私達は音楽を理解する知性や感性を磨き続けるべきです。そうして私達が変化し、音楽自体も、私達が「音」とそれ自体がアートである「作曲」という活動を通じて進化していく手助けをするという目的を持つのです。

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