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エディション・マドリッド・フェスティバル 2004

HAPPENINGText: Terevision Ruiz

今月はまず、3月11日にマドリッドで起こったテロ攻撃で、個人的ではあるが、心に負った傷についてお話しなくてはと思います。皆さんも、それぞれの形でこの出来事を受け止めたことと思います。私も、大抵の人がそうするように、恐怖、悲しみ、自分の無力さを感じています。

その日、私は仕事へ向かう途中、携帯電話にスペインの北部に住む友人からのメールを受け取った。それは、テロの直後で私の安否を問うものだった。(私は、アトカ駅から15分くらいのところに住んでいる。)しかし、その時の私は自宅を出た後だったので、いったい何が起こったのかは知らなず、彼に電話をしようとしたが、携帯電話はなぜかつながらない。大勢の人が一斉に友人や家族の安全を確認するのに電話を使った為だったのだろう。頭上にはヘリコプターが現れ、至る所に警察がいた。職場に着いてやっと私は映像を見て、この事態を知った。信じられなかった。それからは、家族や友人に連絡をとり、その日のほとんどが過ぎてしまった。私たちスペイン人は、その後デモを起こし、怒りと無力さを感じながら泣叫び、この気持ちのやりどころを探り、この世界は狂った者達に火をつけられた短い導火線のように感じながら、今も日々を過ごしている。明日には、同じことがどこかの国の誰かに起こるかもしれない。テロの後に起こしたそのデモでよく聞こえてきた言葉は、『私たちは皆、あの列車に乗っていた』だった。まさにそうだと思う。

テロ後は、多くのコンサートや映画のリリース、展覧会などの文化的なイベントがキャンセルになったが、日々は確実に過ぎて行く。4月の末には、フェスティバル・エディシオン・マドリッド(F.E.M)が控えている。このイベントは、マドリッド市議会、教育、文化、スポーツ、科学技術などの行政機関の主催で行なわれている。しかしこのような行政機関が主催しているイベントながら、内容はオルタナティブで革新的な、スペイン内外の文化を取り上げるものとなっている。

今回は、アート、ビデオ、ストリートアート、デザイン、インテリアデザイン、音楽、ファッションなど、今まで以上に様々な分野を取り込む予定。会場はマドリッドの中心部、アルカラ通りにある、有名なスペインの銀行が所有しているという、カリアチデスという素敵な建物だ。

参加者には、まずファッション分野では、アクセサリーデザイナーのフォスカ・ベルトラン(パリ)や、ララ・ボーヒンク(ロンドン)。キャットウォークでは、スペインの新進デザイナーに加え、ジョナサン・サンダースによるロンドン発のカラフルなデザインを見ることができる。アート分野では、ゲストフォトグラファーのアルヴァロ・ヴィラルビアの他、主にペインティング、写真、イラストレーションの分野から30名近くのアーティストが参加。ビデオアート部門では、「眠り」をテーマにした10名のアーティストによる作品が上映される。

なかでも最も興味深いプロジェクトは、ストリートアートの分野だ。サブアクアティックというギャラリーショップが主催し、グラフィティアーティストのナノ4814ミス・ヴァン(フランス)らの作品を展示する。トリスティア・マンコーの最新本「ストリート・ロゴ」も、グラフィティの世界に関するドキュメンタリーとともに展示される予定。

また、エクスペリメンタル・ミュージックのセクションもあり(アーティストは未定)、ダンスミュージックでは、ラファエル・アマルゴが参加する。

Festival Edicion Madrid 2004
会期:2004年4月21日〜25日
会場:Cariatides building
住所:Alcala 49 y Barquillo, Madrid
https://www.edicionmadrid.com

Text: Terevision Ruiz
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Courtesy Festival Edicion Madrid © the artists

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