カイシャフォルム・マドリード
PLACEText: Victor Moreno
スペインの首都マドリードは常に「それはコンテンポラリーアートかどうか」という文化的質を決定づける都市であり、それこそが「黄金の三角形」との異名をとる所以である。マドリードの中心部には広大な並木街路「パセオ・デル・プラド」が位置し、国立プラド美術館やティッセン・ボルネミッサ美術館、ソフィア王妃芸術センターへのアクセスにもよい立地だ。
2008年、この華やかな文化的エリアの並びに新しく仲間入りしたのがカイシャフォルム・マドリード。このコンテンポラリーアートに特化した施設は、年代を問わず市民権の利益である伝統と新しい文化の獲得を通じ、社会における新しい文化価値を高めるための展覧会を開催するソーシャル・カルチャーの拠点である。
2001年に、スペインの大手銀行であるカイシャがマドリードのメディオディア・エリアにある旧発電所を買い取った。この産業建築は建築学的に言うと、マドリードの旧市街地のなかでも最も貴重なのだが、当時は廃墟と化し、プラド・エリアから孤立していた。
そのため、カイシャフォルムに最改築されたことで蘇り、廃墟はアートや人々にとって美しく、注目すべき新スポットへと変わったのである。スイスの建築スタジオ、ヘルツォーク&ド・ムーロンが考えた設計プロジェクトには、正面玄関前に全ての通行人が楽しめる小さな広場の設計も含まれていた。ここは同時に、マドリードの「バリオ・デ・ラス・レトラス」と呼ばれている美しい場所であり、前世紀(黄金時代)初頭よりスペイン人作家らが暮らし、往来していた地域に隣接している。そして現在は誰もが飲食を含め、楽しめる場所なのである。
カイシャフォルム・マドリードの展示専用の2フロアには4つのスペースがある。カイシャフォルムの講堂、会議室2部屋とワークショップ用のエリア、遊戯スペースと倉庫スペースのエリア、そしてオフィスとVIPエリアには本屋やレストランだ。
このような文化的都市功績を抱えるマドリードは幸せである。これまでの「黄金の三角形」に、この新しい頂点を加え、「黄金の長方形」へと変貌を遂げつつある。
CaixaForum Madrid
住所:Paseo del Prado, 36 28014 Madrid
営業時間:10:00〜20:00
入場料:4€
TEL:+34 91 330 7300
https://obrasocial.lacaixa.es
Text: Victor Moreno
Translation: Aya Shomura
Photos: Courtesy of CaixaForum Madrid