リオップ

PEOPLEText: Victor Moreno

ジャカルタを拠点とするリオップは、ファッション業界の経験もあるアーティストだ。過去には、コマーシャル撮影も行っており、スチールとフィルムの両方を経験している。アンノウン・アジア 2020でSHIFT賞を受賞した彼の作品「グロドック」を紹介できることをとても嬉しく思う。この作品は、彼のアイデンティティを追求するためのポートレート・シリーズでもある。彼は人生の半分を海外で過ごしているが、ジャカルタが故郷だと言う。グロドックはジャカルタにあるチャイナタウンのことだ。ファッション写真を撮影してきた彼ならではの作品が見れる。リオップは写真が好きで、森山大道や川内倫子などのアジアを代表するアーティストが特に好きだと言う。
本インタビューでは、彼のアーティストとしてのキャリアや、現在取り組んでいるプロジェクトなどについて聞いた。


リオップのポートレート写真(2021年)
現在は廃墟となっている彼の幼少期の家で撮影

この度は、SHIFT賞の受賞おめでとうございます。ところで「SHIFT」は以前からご存知でしたか?

ありがとうございます。はい、「SHIFT」については数年前にツイッター経由で知りました。

あなたにとって、アンノウン・アジアとは何ですか?

アンノウン・アジアは、アジア人アーティストやアジアを拠点に活動するアーティストにとって、より多くの露出を得るための素晴らしい機会だと思います。


EDBE(2013年)
写真はいずれも、リオップが過去に手がけたインドネシアのファッションブランド「EDBE」の作品の一部だ。EDBEの作品は、日本のファッションに影響を受けつつ、インドネシアのハンドメイドのバティック生地を使用している。日本のファッションをこよなく愛すリオップとデザイナーにとってEDBEは、思い入れのあるブランドのひとつだ。残念ながら、当ブランドは2015年に終了した。

カナダに住んでいた時に、いくつか学校に行かれていますね。その際に、培った芸術性について詳しくお聞かせください。

実は、シアトルからバンクーバー(カナダ)に行くことを決めたのは、ギリギリだったんです。私は、シアトルの美術大学で、写真を軸にしたファインアートを専攻していました。その際に、パートタイムで、グラフィックデザインも学んでいました。ファインアートを学んでいた際、私は自分自身にいつも編集ソフトのスキルが足りないと感じていました。当時、世界がデジタルにシフトしていることは明らかだったので、それに自分も応じる必要があると思いました。また、MTVを見て育ったということもあり、ショートムービーやミュージックビデオを作りたいと思っていました。バンクーバー映画専門学校でデジタル・デザインを勉強したのは、ソフトウェアの使い方や、UXデザイン、モーション・グラフィックなど、私にとって未知の領域のデザインを教えてくれると思ったからです。1年間の簡単なプログラムだと思っていましたが、実際は結構大変でした。その後、バンクーバーのデジタル・エージェンシーに採用され、数年間勤務しました。その時の肩書きはプロジェクト・マネージャー(アート・ディレクターへの第一歩として)でしたが、実際にはいろいろなことを経験しました。プロジェクト・マネージャーだけでなく、グラフィックデザイナー、フォトグラファー、ウェブコーダー、ビデオエディターなど、様々な仕事をしていました。


ジョン・ナヴィッドのポートレート(2019年)
人気バンド「ホワイト・​シューズ・アンド・ザ・カップルズ・カンパニー」の一人。中国系インドネシア人で、ビンテージ品のコレクターでもある。写真は、グロドックで見つけたとある屋上で撮ったもの。当時、ジョンが着ていたのはグッチの新しいコレクションのセーター。ヴィンテージぽさが、ジョンにピッタリだとリオップは言う。

フォトグラファーとして、主にファッションに関わる仕事をしてきたようですが、その経験が商業アート以外の仕事やプロジェクトにどのように役立っていると思いますか?

ヘルマワン・タンジル主宰のダイアローグなど、ジャカルタのアートスペースとの関わりは、2013年に行われた「Exi(s)t」という若手アーティストの若手支援プログラムに選ばれたことがきっかけでした。当時の私は、日本のマンガにインスパイアされたファッション写真を100点以上展示した初の個展を開催したばかりでした。それを見たキュレーターが、私をインタビューに呼んでくれたんです。なぜファッション・フォトグラファーになったのかと聞かれたので、母が私に女の子の服を着せて、いろいろなファッションを試していたからだと答えました。母は沢山のウィッグを持っていて(今でも持っています)、かわいいと思って私につけていました。小さい頃は何とも思っていませんでしたが、それが私にとってファッション・スタイリングの道への始まりだったのは間違いありません。私は、ファッションとファインアートを組み合わせようとは思っていません。私にとって、ファッションとはコマーシャル・ビジネスなのです。ファッションとはもともと雑誌のために作られたものですから。しかしながら、ファッションは私のアイデンティティーの一部であり、私のファインアート作品に対するアプローチに影響を与えているのは確かです。私は商品を良く見せる方法を知っていますし、写真を編集したり、ストーリー作りをすることができます。これはもちろん、商業的ではないプロジェクトであっても、多くの人の心に届くためには大事だと思います。

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葛西由香
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