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アートデモ・メッセ

HAPPENING

新しいテクノロジーが世界を変えるとき、新しい社会が生まれるとき、古よりその新しさを私たちにみせ続けてきた存在、それがアーティストである。
今、ITによって、わたしたちの生活や社会が変わる中、新たなテクノロジーやそれを用いることによる理解によって新たな可能性を提供するアーティストたちが、活躍の機会をうかがっている。
作品を売ることがアーティストのビジネスモデルかといったらそれだけでもない。新しいテクノロジーや社会のシステムに対する、インターフェイスやソリューション、それによりよい使い方が出来るさまざまな意味でのアプリケーションをつくり出す、私たちの未来に対するクリエイティブなソリューションを提供することが今、新たなビジネスモデルになろうとしているのだ。
新しいこと、新しいものをより魅力的に、刺激的に、かたちにすることで、わたしたちの未来を灯す。それが出来るアーティストたちによる新たなモデルがこの東京で生まれようとしているのだ。


3年目を迎えるアートデモ。その新たな展開は、「出来る」アーティストによるクリエイティブ力を社会やビジネスに活かすプラットフォームを作り出そうというものである。
2月15日と16日に開催されたアートデモ・メッセは、アーティストによるビジネスや社会に対して提供するソリューションのモデルを実際のプロダクトやプロジェクトとして展示するとともに、アーティストとステークホルダーとのブレーンストーミングを公開で行なうという、クリエイティブ力を持つ者と求める者が出あうための新たなアートデモだ。

ここで展示された「作品」であるプロダクトは、どれもこの3月に発売の開始が予定されているものばかりであった。それはまさに、今の東京でクリエイティブ力を楽しもうとするトレンドの先鞭とみえる。

デバイスアーティストのクワクボリョウタが開発し、リリースされるのが「ビデオバルブ」。RCAの黄色ピンからコードが取れたような外観。グリップにスポーティーなたくましさを感じさせるこの「ピン」を、ビデオ端子につなげると、映像が飛び出す、「ピン」そのものに貯められた映像が送り出されるプロダクト。コンテンツは、クワクボによるドット絵アニメーション、ビットマンだ。「ビデオバルブ」は、3月中旬に日本のおもちゃマーケットに出る予定となっている。
クワクボは、過去の作品「ビットハイク」によって、ミニマムなドットを様々な人が作りあって観賞しあう、ゲーム感覚のコンソールによるコミュニケーション作品を制作している。このコンセプトの延長で、ドット絵を作りあい、送りあい、見せ合うコミュニケーションの遊びを今後、「ビデオバルブ」をメディアに作っていくことを構想している。

数分程度の一定期間をおいて、連続撮影を続ける「ライフスライスカメラ」。このアイディアをもとにプロダクトを開発し、同じく3月中旬にリリースするのがライフスライス研究所。
「ライフスライスカメラ」は、首からさげ続けるアクセサリーのようなカメラ。だから、その人の見たもの全てが撮影される。自分が住んでいる街や、環境、それにコミュニケーションを記録し続けるこのカメラによって、他人と「視点」を共有することができる。
このカメラのプロトタイプは、世界で活動するNGOが特に購入し、採用したという。見知らぬ土地で何を彼ら、彼女たちがしているのか?その報告が、実際に見たり触れ合ったりする中での感動までも映像に込めて、私たちに伝わるのである。

メディアアートをコンピュータゲームやモバイルコンテンツに変えるフォトンが、同じく3月中旬にリリースする、フォトン初の携帯電話ゲーム「音玉」。もはや携帯電話機が高機能なゲーム機になってしまった今、音玉は、携帯電話のキーパッドをシーケンサーに変えて、画面上に出るコミカルな「玉」型のキャラクターをつぶしながら、気持ちのいい音を出して行く、ひとときのトリップ感覚を味あわせるゲームである。誰もが、携帯電話というハイパワーなマルチメディアツールを持つなら、アート作品が入り込んで刺激を与えてしまおうというチャレンジだ。

アーティストとステークホルダーを交えた、ブレーンストーミングで興味深い議論となったのは、誰もが触ってもらえるアートにしたいという考えをクワクボリョウタが示したことであろう。
いくら私達や、より若い世代のまわりの人たちが面白いといってくれても、より上の世代やもっと他の人達にも、関心を持ってもらったり、理解してもらえたり、触れてもらったりしてくれるような作品を作り続けたいとクワクボは言う。
それはまさに、今という中での格好よさやオモシロさに溺れることの無い、誰もがITに触れなければならない時代におけるクリエイティブな感動を、実際の「もの」にして行くことでより多くの人に広げていきたいという思いである。この思いは、ITを使って「もの」を作り出すことをクリエイティブとする、今回のアートデモに参加したほかのアーティストにも共通するものであった。

建築家でメディアアーティストでもある田中陽明は、アートが新しい時代の課題解決や自分たちのクオリティー向上の手段になるとブレーンストーミングで語った。日常を変える選択肢としての提案はアートというかたちなら可能であると指摘する。一昨年、北海道で展開されたプロジェクトでは、工業的に画一化されたプレハブ住宅の建材をよりクリエイティブなものにしようと住宅展示場を作り出した。そのことによって、実際により住み人が個性を感じることができる新たな選択となる建材が商品化されたのである。

それをより広い目で見ているアーティストもいる。現代芸術家の椿昇は、バングラディッシュでの問題解決をアートプロジェクトで取り組もうとしている。深刻な井戸水の水質汚染が蔓延する農村部で、竹炭を使って水の浄化をまずは行う。このような地道な取り組みであっても、アートであるなら、世界規模の注目を集めることになるであろう。世界の関心から見放されている国に、単身で乗り込んで問題解決に挑める。これこそ新しいアートの力なのである。椿は今、巨大なロボット作品を数多く手掛けている。そのロボットの展示を美術展で行うために招待されたのがバングラディッシュとの付き合いの最初なのだが、10メートル近いロボットの組み上げは竹の骨組みによる、全て人力であったという。「機械はないが人間ならいくらでもいる」と現地の人に言われたとか。

アートによるクリエイティブ力が、プロダクトやサービスの先端となり、ITをかたちにする手段となること。それはただ単に大企業の中に取り込まれてクリエイティブのみが活用されるだけの段階から、アーティストそのものがプロダクトやサービスをかたちとして示せる段階にまで進みつつあるのである。ビデオバルブのような画期的な新製品が生まれ、新しい使い方やコミュニケーションが生まれるカメラが登場するように。この流れが、本当にたくさんの人をクリエイティブでおもしろく、豊かにすることが出来るのであろうか。より多くの成功に向けた、より確実な一歩がアートデモには求められている。

アートデモ・メッセ
開催日:2004年2月15日・16日
会 場:共存(渋谷区神宮前5-47-6)
入場料:2000円(アートデモカタログ +1ドリンクチケット込)
    展示のみの時間無料(16日11:00-13:30)
問合せ:アートデモ(artdemo@coolstates.com

Text and Photo: Tomohiro Okada From Coolstates Communications

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