アートデモ・メッセ 2004

HAPPENINGText: Tomohiro Okada

新しいテクノロジーが世界を変えるとき、新しい社会が生まれるとき、古よりその新しさを私たちにみせ続けてきた存在、それがアーティストである。今、ITによって、わたしたちの生活や社会が変わる中、新たなテクノロジーやそれを用いることによる理解によって新たな可能性を提供するアーティストたちが、活躍の機会をうかがっている。

作品を売ることがアーティストのビジネスモデルかといったらそれだけでもない。新しいテクノロジーや社会のシステムに対する、インターフェイスやソリューション、それによりよい使い方ができる様々な意味でのアプリケーションをつくり出す、私たちの未来に対するクリエイティブなソリューションを提供することが今、新たなビジネスモデルになろうとしているのだ。

新しいこと、新しいものをより魅力的に、刺激的に、かたちにすることで、わたしたちの未来を灯す。それができるアーティストたちによる新たなモデルがこの東京で生まれようとしているのだ。

3年目を迎えるアートデモ。その新たな展開は、「できる」アーティストによるクリエイティブ力を社会やビジネスに活かすプラットフォームを作り出そうというものである。

2月15日と16日に開催されたアートデモ・メッセは、アーティストによるビジネスや社会に対して提供するソリューションのモデルを実際のプロダクトやプロジェクトとして展示するとともに、アーティストとステークホルダーとのブレーンストーミングを公開で行なうという、クリエイティブ力を持つ者と求める者が出あうための新たなアートデモだ。

ここで展示された「作品」であるプロダクトは、どれもこの3月に発売の開始が予定されているものばかりであった。それはまさに、今の東京でクリエイティブ力を楽しもうとするトレンドの先鞭とみえる。


クワクボリョウタ「ビデオバルブ」

デバイスアーティストのクワクボリョウタが開発し、リリースされるのが「ビデオバルブ」。RCAの黄色ピンからコードが取れたような外観。グリップにスポーティーなたくましさを感じさせるこの「ピン」を、ビデオ端子につなげると、映像が飛び出す、「ピン」そのものに貯められた映像が送り出されるプロダクト。コンテンツは、クワクボによるドット絵アニメーション、ビットマンだ。「ビデオバルブ」は、3月中旬に日本のおもちゃマーケットに出る予定となっている。

クワクボは、過去の作品「ビットハイク」によって、ミニマムなドットを様々な人が作りあって観賞しあう、ゲーム感覚のコンソールによるコミュニケーション作品を制作している。このコンセプトの延長で、ドット絵を作りあい、送りあい、見せ合うコミュニケーションの遊びを今後、「ビデオバルブ」をメディアに作っていくことを構想している。

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