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アートデモ・メッセ 2004

HAPPENINGText: Tomohiro Okada

建築家でメディアアーティストでもある田中陽明は、アートが新しい時代の課題解決や自分たちのクオリティー向上の手段になるとブレーンストーミングで語った。


田中陽明

日常を変える選択肢としての提案はアートというかたちなら可能であると指摘する。一昨年、北海道で展開されたプロジェクトでは、工業的に画一化されたプレハブ住宅の建材をよりクリエイティブなものにしようと住宅展示場を作り出した。そのことによって、実際により住み人が個性を感じることができる新たな選択となる建材が商品化されたのである。

それをより広い目で見ているアーティストもいる。現代芸術家の椿昇は、バングラディッシュでの問題解決をアートプロジェクトで取り組もうとしている。深刻な井戸水の水質汚染が蔓延する農村部で、竹炭を使って水の浄化をまずは行う。このような地道な取り組みであっても、アートであるなら、世界規模の注目を集めることになるであろう。世界の関心から見放されている国に、単身で乗り込んで問題解決に挑める。これこそ新しいアートの力なのである。


椿昇

椿は今、巨大なロボット作品を数多く手掛けている。そのロボットの展示を美術展で行うために招待されたのがバングラディッシュとの付き合いの最初なのだが、10メートル近いロボットの組み上げは竹の骨組みによる、全て人力であったという。「機械はないが人間ならいくらでもいる」と現地の人に言われたとか。

アートによるクリエイティブ力が、プロダクトやサービスの先端となり、ITをかたちにする手段となること。それはただ単に大企業の中に取り込まれてクリエイティブのみが活用されるだけの段階から、アーティストそのものがプロダクトやサービスをかたちとして示せる段階にまで進みつつあるのである。

ビデオバルブのような画期的な新製品が生まれ、新しい使い方やコミュニケーションが生まれるカメラが登場するように。この流れが、本当に沢山の人をクリエイティブでおもしろく、豊かにすることができるのであろうか。より多くの成功に向けた、より確実な一歩がアートデモには求められている。

アートデモ・メッセ 2004
会期:2004年2月15日(日)・16日(月)
会場:共存
住所:東京都渋谷区神宮前5-47-6
入場料:2000円(アートデモカタログ +1ドリンクチケット込)
https://coolstates.com

Text: Tomohiro Okada
Photos: Tomohiro Okada

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