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カリフォルニア美術大学卒業制作展 2004

HAPPENINGText: Mark Buswell

どういうわけか、カリフォルニア美術大学(CCA)が開催する卒業作品展の時は、いつも雨が降っているような気がする。ただ学生の気分にはぴったりなのかもしれない。この日は、成績が決定する日なのだ。それはつまり合格か、不合格か。不合格になれば、もう1学期学校に残らなくてはならない。前回は、クラスの約4分の1が落第したそうだ。

グラフィックデザイン学部の卒業制作プログラムは、CCAの学生にとっては、学んだ事の集大成を発表する場のようなもの。これは、マイケル・バンダビル(グラフィックデザイン学部長)が、学生にデザイナーになるとはどういうことかという理解を深めさせるために設けたプログラムだ。

授業は主に、学生が積極的に進めていくというスタイルで、学生に自らの興味を模索させ、デザインを自身の発見を表現する媒体として認識させる機会を与えるという主旨のもと行なわれる。卒業制作では、本、ポスター、インスタレーション、ショートフィルム、家具、ペインティングなど、卒業論文とリンクするものならどんな表現方法でも良い。

各学期ごとに、デザイン界の一流の講師がローテーションでクラスを受け持つ。今学期の講師は、ジェニファー・スターリング(ジェニファー・スターリング・デザイン)、デイビッド・カラム(ポスト・ツール)、メラニー・ドハーティー(メラニー・ドハーティー・デザイン)、そしてもちろん常勤は、マイケル・バンダビルだ。

CCAの卒業制作プログラムは、はっきり言って難しい。信じてほしい。僕は、ちょうど1年前にここを卒業したのだが、胸に突き刺さるような批評と、やっと卒業できたときの喜びは、今でもはっきりと覚えている。デザインのプロになってから、学生の時ほど追い込まれた経験はまだない気がする。CCAでは、デザインの授業の初日に卒業制作について聞かされ、授業登録をする頃までには、すでに憂鬱な気分になっている。

もちろんこの日も雨だった。パンツの裾をたくしあげ、水たまりをよけながら駐車場を小走りして会場へ到着した。学校の大きなガラスのドアから、明かりが見えた。IDカード(僕は卒業生なので、昔の学生証)を見せ、卒業できるかできないかまだ分からぬ学生達が集まる大講堂へと向かった。そこではすでに、今年の学生の作品であるショートフィルムが上映されていた。「しまった!出遅れた!」

講堂には、期待を寄せる家族や友達が、CCAの学生を応援しに集まっていた。混み合う会場の薄暗い角の席に座った時、ちょうどジョシュア・カリーのフィルム「1+1=1」が、はじまるところだった。彼のフィルムは、抽象的な映像を組み合わせ、彼にとって、コンピューターの存在がいかに大きいかをじっくりと表現している。ぼんやりとしたやわらかい映像では、アイデンティティの喪失を訴えかけ、テクノロジーが彼に合わせているのか、それとも彼がテクノロジーにあわせているのかという疑問を投げかける。

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