アルス・エレクトロニカ 2003

HAPPENINGText: Yoshihisa Abe

9月7日には、旧市街地の中央にある大広場ハウプトプラッツに設けられた巨大シアターにて文化庁メディア芸術祭の作品を上映した。


「JAPANESE ANIMATION!」上映風景

「JAPANESE ANIMATION!」と題して第6回の優秀作品の中から、日本の若手アニメーション作家9人の作品をプレゼンテーションした。上映作家は、富岡聡タナカウサギ 、坂本サク、近藤聡乃、石井晶子、奥井宏幸、中尾浩之、富永舞、村田朋泰。日本の若い世代の感性を全面に出していた作品が特に受けていたように思う。


「JAPANESE ANIMATION!」上映風景

日曜日の夜9時30分からの上映とあまり良くない条件にも関わらず、500人以上もの人が集まり、作品ごとに大きな拍手がおこっていた。当初1回のみの上映予定でだったが、あまりにも好評で、2回目の上映を行うほどであった。

アルス・エレクトロニカを包括してみると、これは単なるアートイベントではない。「アートとテクノロジーの関係」、「アートと社会の関わり」といったところまで深く掘り下げられている。アルス・エレクトロニカは、リンツ市のアルス・エレクトロニカセンターとORFという国営放送の2者によって主催されている。運営面では手作り感があり、非常に細やかなところまで気が配られていて、スタッフも情熱に溢れていて、とても気持ち良く対応してくれた。


シンポジウム

アルス・エレクトロニカを主催しているアルス・エレクトロニカセンターでは、産学共同での開発プロジェクトも進んでいるようであるし、地域社会からも受け入れられているようだ。アルス・エレクトロニカが提示している「アートの新しい使命」というものを自らが実践しているようである。


Gerfried Stocker

私自身は今回のアルス・エレクトロニカを見て、とても参考になることが数多くあった。企画内容だけでなく運営面においても感心させられた。アルス・エレクトロニカのディレクターのゲルフリートは、私と同年齢であり、文化庁メディア芸術祭も彼らに負けることのないように魅力的なものにしていきたいと改めて強く思った。

なお、今年のメディア芸術祭は、10月20日まで作品を募集しています。来年も今年に続き素晴らしい作品を海外で紹介し、優秀な海外作品を日本で紹介することができるようにするためにも、皆様からの作品の応募をお待ちしています。

アルス・エレクトロニカ 2003
会期:2003年9月6日〜11日
会場:リンツ、オーストリア
https://www.aec.at

Text: Yoshihisa Abe
Photos: Yoshihisa Abe

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