アルス・エレクトロニカ 2003
HAPPENINGText: Yoshihisa Abe
CG-ARTS協会は、文化庁とともに文化庁メディア芸術祭を主催しています。今回、文化庁メディア芸術祭の作品上映が正式なプログラムとして組込まれたこともあり、初めてアルス・エレクトロニカに参加しました。同じメディアアートの祭典を運営している立場としてレポートしてみたいと思います。
24年目となる今年のアルス・エレクトロニカは、オーストリアのリンツで9月6日から11日まで開催。今回は「コード:私たちの時代の言語」をテーマに、展示、上映、シンポジウム、ライブが行われた。シーグラフと比較してもそれほど規模は大きくはないが、メディアアートの最先端が見られる場所であり、世界中からメディアアーティストやキュレーター、研究者が集い、交流できる場としてうまく機能している。シーグラフや、トランスメディアーレのチェアマンやディレクターも来ていた。
また、アルス・エレクトロニカは、リンツ市内のホールや美術館をうまく活用している。アートイベントも巨大化してコンベンションセンターで行われるものが増えているが、既存の施設を活用しているところがとても良い感じだ。このあたりはヨーロッパならではなのだろうか。
初日の開会式はドナウ河畔にあるブルックナーハウスにて行われた。ブッシュ大統領の「テロ」「イラク」「ウエポン」という言葉のスクラッチ映像から始まり、いきなり強いメッセージ性を出している。
明和電機
シビアな印象で始まった直後に、明和電機のパフォーマンスが行われた。リンツ市長らVIPのスピーチのあいまに三度も登場。シビアなメッセージの後にナンセンスな楽器を駆使したパフォーマンスに最初は、きょとんとするヨーロッパの人たちも最終的には拍手喝采が湧き起こった。
Visual Linzer Klangwolke
開会式の後は、屋外で音楽と映像のコラボレーションイベント「Visual Linzer Klangwolke」が行われた。かなり大掛かりなものであるが、クリスチャン・コロノビッツとクリス・ラスカによる民族や歴史を強く感じさせる内容は、少し意外な感じがした。
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