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シロップ

PEOPLEText: Sachiko Kurashina

ニューヨークとフィンランドのヘルシンキで活動するシロップの作品。もしかしたら初めて彼らの名前を耳にする人も多いかもしれないが、実は彼らは、大企業をクライアントに持つ隠れた実力派だ。並々ならぬ努力、一番大切なのはコンセプト、クライアントとの親密な関係を築く…。こういった言葉からは、真面目で、誠実で、まっすぐなシロップの姿勢が伺われる。

自己紹介をお願いします。「シロップ」というのもユニークな名前ですよね。どのような由来があるのでしょうか?

シロップという名前の由来については、本当に良く聞かれるのですが、同じ質問ばかりに答えるのはちょっとキリがないので、今回はシロップがどのようにして誕生したのかを、お話したいと思います。実を言うとシロップは、冗談を言っているうちに誕生したような会社です。ロブとジェイコブがシロップを作ったのですが「ねぇ、会社作っちゃおうよ」という何気ない会話から会社を起こし、クライアントを得て、そしていつの間にか、どんどん大きくなっていきました。外部からの出資に助けられて大きくなったと言うよりも、クライアントを自ら獲得するという活動を通じて、組織的に成長していきました。アート・ディレクション、広告、ブランド・ディベロップメント、インタラクティブ/ビデオ作品の制作、テクノロジー・アプリケーションの開発、ブランド戦略についてのサービスなどを提供しています。

できるだけ、小規模でい続けることは、私達の方針のーつでもあります。小規模だと、それだけフレキシブルですし、市場の動きにもすぐに反応できます。それに、仕事場でも、必要以上にややこしい上下関係みたいなものもありませんし。よく大きな会社には、課長がいて、部長がいて、係長がいて…といった、ピラミッド形の組織図がありますが、そういうのは絶対に避けたかった。現にそういったものは、良いものからどんどん離れていくためのもののような気がしますし、それよりも、スタッフ全員が何でも言い合えて、クリエイティブのエネルギーがみなぎる場所が希望でした。私達のクライアントも今の所、クライアントのトップの方たちとシロップとの、人と人とがしっかりと結びついているような状態を、喜んで受け入れてくれています。そういったこともあり、私達とのプロジェクトの際は、クライアント側のマネージャークラスの人たちが、部下のみなさんに責任のある仕事をすぐに回してくれるので、彼らにとっては、それが嬉しいみたいです。

シロップではどのような活動を行っていますか?最近手掛けた(手掛けている)プロジェクトをいくつか紹介してください。

実に色々やってますよ。ファッションとか、装飾品業界でも仕事をしていますし、最近ではテレコミュニケーションやエンターテイメントといった分野にも進出しています。ラルフ・ローレンのデザイン、雑誌タラベル・サヴィのクリエイティブ・ディレクション、ジェームズ・パース(ロサンゼルスのファッションデザイナー)のインストアキャンペーン、ボルボのビデオコンセプトの制作、コネイスト・ミュージック祭(スカンジナビア最大のエレクトロニック音楽とアートのフェスティバル)のキャンペーン、ヨーロッパのエレクトロニック音楽用の音楽ビデオの制作、ジュディス・レイバーのブランド制作とインタラクティブ作品の制作などなど、本当に様々です。今年の夏は本当に忙しくて、いつこの忙しい日々から解放されるのやら…といった状態です。

そういった幅広いフィールドに、常に新鮮で斬新なデザインを提供できる秘密は、どこに隠されているのでしょうか?

「働くか、家に帰るか」。これは私達のモットーでもあり、この言葉は本当にその通りだと思います。成功するためには、仕事を必死になって得なければならない。そして、その仕事からお金をいただくためには、並々ならぬ努力が必要です。それこそ、クライアントに満足してもらう唯一の方法です。クリエイティブな才能はもちろん必要です。でも、実際に才能があっても成功できない人がいるのは、才能だけでは何も保証できないからです。締め切りまでに間に合わせられない。予算内でおさめきれないのでは、二度とクライアントから声をかけてもらえないのは当然のこと。厳しいけど、当たり前のことです。あとは、必要以上に傲慢になるのは、絶対的に命取りな行動。そういう人たちは、生き残っていけませんよね…。

私達のデザインを見て、見た人達がそこから何かを感じ取ってくれること。そして、彼らの気持ちに何らかの動きを生み出すことのできるデザインを作り上げることが、私達の目標です。だから、私達のスタイルも常に新しいものにし、向上するように気をつけています。それと、クライアントに喜んでもらいながらも、私達なりのクリエイティブ性を保つことにも気をつけています。それは、信頼というものは結局の所、私達自身とクライアントの双方で育まれるものだからです。それにそこでできた関係は、お互いに対する敬意をも運んでくれますしね。作品を制作する時は、常にこの考えを忘れないようにしています。

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