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ABAKE

PEOPLE

アバケ」は、さまざまな国籍を持つメンバーから成るデザイン・スタジオ。5月には中目黒の「GAS SHOP」にて、日本では初めてとなる展覧会「GAS」を開催した。今回は「GAS TV」のために収録されたインタビューの模様を紹介。ちなみにスウェーデン語で「GAS」とは渡り鳥のグースのこと。イギリスを出発点に、さまざまな国を渡ってきた「アバケ」の日本でのワークショップとは?控えめながらも熱心に説明をしてくれる彼らの姿勢には、肩ひじを張らない親近感が感じられた。

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アバケについて教えて下さい。

カイサ:グラフィック・デザイン・スタジオのアバケです。メンバーは、パトリック・レイシー、ベンジャミン・ライヘン、カイサ・スタハル、マキ・スズキの4名。ロンドンで活動していますが、イギリスのウェールズ、フランス、スウェーデンと出身はさまざまです。グラフィックデザインの中で一番興味があるのは、共同作業で制作を進めることができる点です。これまでも、歌手、バンド、アーティスト、大学、建築家、美術館、家具デザイナー、ファッションデザイナー、映画制作会社、芸術財団、雑誌といった幅広いクライアントとプロジェクトをこなしてきました。ほんの一部ですが、カーディガンズ、マルタン・マルジェラ、ピーター・エンセン、ブックワークス、ブリティッシュ・カウンシルなどが私達のクライアントです。

6月5日まで「GAS SHOP」で開催されている展覧会について教えて下さい。

カイサ:展覧会は大きく分けて3つのパートに別れており、まず最初のパートでは、ロンドンから日本までの移動の間に行った活動について紹介しています。Tシャツや、毛糸でできたアイマスク、ドローイングなどが紹介されています。

マキ:今回の訪日の中で何が一番良かったかというと、GASのためだけに何か新しいものを作れたこと、そして飛行機で日本まで来れたことが挙げられます。普通なら飛行機の中では映画を見たり、ゲームをしたりしがちですが、お気に入りの趣味を今までとは違った方法で試すことで、今までとは違った作品を完成させることができました。僕達はロシア上空を飛んできたので、飛行機の中で作った作品は、厳密に言うと「ロシア産」です。実際にはロシアの土を踏んだことはないのですが「これはロシアで作ったんだよ」と言えるのは、何だか気分がいいです。

その他のパートは?

カイサ:もうひとつは「交換会」というパートで、今まで行ってきた仕事で築きあげてきたリンク(繋がり)に、どのようにアプローチを展開するか、という試みです。例えばこのテーブルクロスと模様は、デンマーク人ファッション・デザイナーのピーター・エンセンのために制作したものです。それを今度は、畳のサイズ、こたつの高さに合わせて裁断しました。

ベンジャミン:今回の展覧会では、従来の「作品を見せる」という方法を取らずに、お互いに何かを交換したいという思いがありました。実際に日本では、GASのスタッフのみなさんと本当の意味の交換ができたと思いますし、完成された作品を紹介というよりは、何かを交換するのがそもそもの目的でしたしね。

パトリック:お皿や商品もいくつか制作したのですが、これは特にGASのため、そしてGASと一緒に制作したものです。僕達自身がいろいろな国の出身なので、そういった文化の違いみたいなものを紹介したかったし、発音が意外に難しい外国の言葉を、こういった商品を通じていくつか教えることができればいいな、と思っていました。お皿を選んだのは、毎日使うものだからです。

マキ:お皿には、どのようにはっきりと発音するかについての、かなり専門的な説明が書かれています。そのために僕達なりにも、ちょっとした調査も行いました。頑張って読んでみると、その説明書きはかなり細かいことに気付くはず。でもここで一番大切なのは、難しい発音に挑戦してみるのに必要なのは、一度読み終わったら、もう一度復唱してみること。それこそ、あなたがその発音を理解した、ということになるからです。

カイサ:今回はパトリックの誕生日も重なったことも大きいですね。私達の間では「バースデイ・プロジェクト」と呼んでいるのですが、誰かの誕生日があると、仕事も一緒にどこかへ遠出することにしています。マキの誕生日にはスウェーデンに行ったし、ベンの時はパリ。私の時はベニスでした。そして今回、パトリックの誕生日を兼ねて日本に来ることができました。パトリック、お誕生日おめでとう。

マキ:このバースデイ・プロジェクトでは、仕事と日常生活には大した違いはない、ということに気付くことができます。よく旅の途中で「お仕事ですか?休暇ですか?」と聞かれる場面に遭遇しますが、バースデイ・プロジェクトには仕事もついてくるので、仕事と日常をどのように処理するかを教えてくれる好例だと思っています。

ワッペンのデザインもされたそうですね?

カイサ:これも今回の展覧会のために制作した商品のひとつです。ワッペンの部分のデザインには、私達の父のイラストがあしらわれています。

マキ:ワッペンをメディアのひとつとして考えた時、まずはじめに僕達の頭の中に浮かんだのが、ラコステのロゴでした。あのワニのロゴは、今ではものすごいパワーを持っていますよね。でも僕達は、ラコステのように世界中で認知されている強さとは反対のもの、だけどかなり個人的なものを作ってみたかった。これが父を題材として選んだ理由です。お母さんにしようか、ちょっと悩みましたけどね…。

ベンジャミン:このデザインでは、まずメンバーそれぞれのお父さんの写真を集めることからはじめました。それを北イングランドにいる職人さんに送ったのですが、戻ってきたらこのようなデザインになっていました。それからは特に僕達はこのデザインに手を加えませんでした。そうすることで、その職人さんと良い交換が成立すると考えたからです。良いコラボレーションができたと思っています。

マキ:展覧会についての基本的なアイディアに話を戻したいのですが、今までいろいろな美術館やギャラリーで展覧会を開かせていただきましたが、いつもグラフィックデザインやその他のデザインをそういった空間で展示するのに、かなり違和感を感じていました。それは、コンテキストが力強いからです。例えば、CDジャケットのデザインを見たければ、レコード屋に行くのが一番。それがジャケットを見るためのベストな方法です。どのように作品を紹介するか、どこで自分達が満足するかがポイントになるわけです。今回僕達は、いつも使っている冷蔵庫を題材として利用しました。ステッカーを冷蔵庫に貼ったりする人って、よくいますよね。でも今回は、ちょっと見方を変えてみて、食べ物が入ったままの冷蔵庫を起用しました。裏側にはマグネットもついています。冷蔵庫が何個かあって、その後ろには何かがついている、というものです。そのおまけを見るためには、冷蔵庫を部屋の真ん中に置かなければいけないかもしれませんね。もちろんこの冷蔵庫は新しいので、普通の冷蔵庫として使うこともできます。

キツネ」名義では、ファッションユニットとしての活動も平行されていますが、「キツネ」についても教えて下さい。

「キツネ」は、マサヤ・クロキ、ギルダス・ロアーク、それに僕達アバケによるユニットです。2001年から始動しています。各々がさまざまな分野の知識をもっているので、ファッションだけではなく、音楽やイベントなどでも活動することが可能です。詳しくは、キツネのサイトを見てみてください。

今回制作していただいた、カバーデザインについて教えて下さい。

佐々木貞子さんという女性がいるのですが、彼女は広島に原爆が落ちた際の被爆者で、鶴を千羽折ったら病気が治るということを信じて鶴を折っていましたが、完成させることができないままに亡くなってしまいました。今回のこのカバーでザインでは、その千羽鶴の現代版を作ってみようと思いました。右下にカウンターがあるのですが、1000人がサイトを訪れる毎に、僕達の平和への想いが本物になるのではないかと思います。

今後の予定について教えて下さい。

マルチノ・ギャンパーという家具デザイナーの方がいるのですが、その方の本の出版の仕事が入っています。イギリスのテレビ局、チャンネル4とのプロジェクトもあり、これは、これからのアーティストにチャンスを与えるのが目的です。マルタン・マルジェラと行った、ライン6のビジュアル表現はこれからも続けていきたいですね。今回「GAS SHOP」で展覧会を開催するにあたり、こうやって来日し、素晴らしい人たちとの出合いに恵まれました。まだまだいろいろなものが見足りなかったので、また近い内に日本に来たいです。

最後に、シフトの読者に向けてメッセージをお願いします。

これまで私達は、ヨーロッパにあるいくつかの大学でワークショップを開いてきました。将来は、日本でも同様の活動ができればいいと思っています。興味がある方は、是非ともアバケまで御一報ください。

Abake
a.b.a.k.e@free.fr

Text: Ayako Terashima from Gas
Transration: Sachiko Kurashina

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