第5回 バンクーバー・アンダーグラウンド映画祭

HAPPENINGText: Aya Takada

無彩色の空、冬空の下、背中を丸めず、寒さを楽しむ旋毛曲がりになるのも楽しいけれど、ポップコーン片手に旋毛曲がりたちのエクスペリメンタルなフィルムをわいわい見るのはもっと楽しい。頭が灰色の空を忘れて、色鮮やかになるのが分かるからかもしれない。


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今年で5回目を向かえるブライディング・ライト・シネマによる、バンクーバー・アンダーグラウンド映画祭(VUFF)が21日の夜に幕を開けた。今年は、計58もの作品がバンクーバーからだけではなく、ニューヨーク、サンフランシスコ、トロントなどから集められ、11月21日から24日までの4日間にわたり上映された。

21日のオープニングナイトでは「スーパーマン・ポルノグラファー」のタイトルのもと、サンフランシスコからマイルズ・モンタルバノのビデオ「ラブ・アンド・モンスター」、ウィニペグからソロモン・ナグラーの16mmフィルム「Doc1.doc」、バンクーバーからマット・フィデンとエイミー・ロックハートのビデオ「ミス・エドモントン・ティーンバーガー1983・イン・“ユア・エターナル”」、トロントからシーラ・パイの「レッスン」、そしてブランドンからマイルズ・ラグロイスとドゥルー・ラグロイスの40分ビデオ「マイクロ・ナイス」が上映された。

見所は、ミス・エドモントン・ティーンバーガーの青春を描いたエイミー・ロックハートの「ミス・エドモントン・ティーンバーガー1983・イン・“ユア・エターナル”」と、悪党魔女たちのいたずらな企みを描いた自作のコミック「マイクロ・ナイス」を映像化したマイルズ・ラグロイスとドゥルー・ラグロイスの作品だ。ユニークなコスチュームやブラックユーモアに満ちたストーリーの展開で常に場内は笑いに包まれていた。


Amy Lockhart, Jaret Penner & Mike Swaney from Humanfive

会場はエイミー・ロックハート(写真左上)や、VUFFの宣伝ポスターを手掛けたヒューマンファイブ(写真右上)を含む多くの観客で溢れ、賑やかなものとなった。4日間のスケジュールはVUFFのウェブサイトでチェックすることができる。

1998年にアレックス・マッケンジーにより創立されたブラインディング・ライト・シネマは、北アメリカで唯一、フルタイムでアンダーグラウンド映画を上映している。トータルで110席という空間は、アンダーグラウンド映画を楽しむ観客だけではなく、フィルムメーカーたちにとって重要な場所となっている。ブラインディング・ライトの募集要項には、「上映するのにインディヒーローになる必要はない」と、あらゆるフィルムメーカーに彼らの作品を上映する機会を与える「ブリング・ユア・オウン・フィルム・ナイト」がマンスリーで設けられている。新鮮な素材に溢れ、常に新しい才能に出会えるこのシネマはアンダーグラウンドカルチャーを力強く支えている。

無気力に見えた灰色の空があらたな才能の色をより鮮やかにしてくれてたなんて、眺めてるだけでは気づかなかった。街中に溢れる創造力が私たちの心と体を熱くする、今年の冬も楽しくなりそうだ。

The 5th Vancouver Underground Film Festival
会場:2002年11月21日〜25日
会場:The Blinding Light!! Cinema
住所:36 Powell Street, Vancouver, BC V6A 1E7
TEL:+1 604 684 8288
https://www.blindinglight.com

Text: Aya Takada

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