トゥ・ザ・ポイント展
HAPPENINGText: Aya Takada
サブタイトルに「ありふれたドローイングショーではない」と題した、ドローイングというメディアの多様性とアーティストの創造性が存分に表現されている展覧会「トゥ・ザ・ポイント」が、3月18日から4月10日に渡り、ステイト・ギャラリーで開催されている。ペンや色鉛筆のみならず、チューイングガムを用いてのドローイングやコラージュなどニ次元の要素に三次元的深みが加わえられている。冬から春への転換のように景色に見所沢山!と言った感じだ。
Jeffry Mitchell
参加アーティストは、バンクーバーを拠点に活動するキム・ケネディ・オースティン、ナターシャ・マックハルディ、シアトルからジェフリー・ミチェル、モントリオールからカートゥーン・ロジック、そしてロサンジェルスを拠点とするヒラリー・ブリーッカー、サンディープ・ムックハージー。
Cartoon Logic
淡い色鉛筆で描かれたブリーッカーの木々はカートゥーン・ロジックの細かでやや雑然的なドローイングと対称的な位置に展示されており、ムックハージーの蛍光ピンクのべラムに描かれたヒューマンフィギュアやコラージュは、オースティンのピンク&ブラックの繊細なアーキテクチャードローイングと向き合い、心地よいバランスがとられている。
Sandeep Mukherjee
そしてミチェルの中国風花瓶から散りばめられている淡い色の花のカットアウトが、上下対称的に壁に貼付けてある。またマックハルディのチューイングガム・ドローイングは、マテリアルの素質同様、腰のある作品だ。細かなテキストは、オーディエンスにパーソナルなフィーリングを与え、対照的に三次元的な作品はビューワーと作品間の空間を作り上げている。
Natasha McHardy
ドローイングは、考えやビジョンを直接的、即興的に描写し、ペインティングやフォトグラフにはないデリカシーをもたらす。下書きや草案として使用されてきたメディアが、淡い色合いと洗練されたラインやストロークにより、完成度の高い作品をつくりあげる。デリバレイトかつバラエティに富んだ表現可能な域に、現代アートのメディアに対する柔軟性や多様性、そして可能性が感じられる。
Sandeep Mukherjee
バンクーバーのサウスグランビルに位置するステイト・ギャラリーは、国内、海外の新鮮なコンテンポラリーアートを紹介するプライベートギャラリーである。カラーテープやカラフルな糸をマテリアルに描くミゲル・ダ・コンセイチオや、インクジェットカラープリントによるパノラマフォトを製作するダニー・シンガーなど、常に洗練されたアーティストの作品を紹介している注目の場所であるといえよう。
To The Point: Not just another drawing show
会期:2004年3月18日(木)〜4月10日(土)
会場:STATE gallery
住所:Upper floor, 1564 W. 6th Ave. Vancouver
TEL:+1 604 632 0198
https://www.state-gallery.com
Text: Aya Takada
Photos: Aya Takada