「アイ・アム・ザ・リミックス」展

HAPPENINGText: Aya Takada

1月10日から2月14日にかけ、DJカルチャーをテーマにした展覧会「I AM THE REMIX」が、ウエスタン・フロントで開催された。キューレーター、エイドリアン・ライの呼びかけにバンクーバーを拠点にDJ活動するローレンス・スィム、メディアアーティスト・ダン・バリー、ロサンゼルスからはアート・コレクティブ、スランゲージ(ジュアン・キャピストラン、マリオ・イベラ・ジュニア)が参加した。


Drawing by Slanguage

会場ではスランゲージによるスピーカーをイメージしたアーキテクチャー・ドローイング、バリーによるビデオコラージュ、そしてDJパフォーマンスがあり、日常生活のあらゆるマテリアル・アイディアがどのようにリミックスされ、変形し、私たちのカルチャーの一部になっているかが表現されていた。


Lawrence Sim at Western Front

ウエスタン・フロントにての展示に加え、「リッミクス・アンド・フィードバック・ラウンドテーブル」と題されたパネルディスカッションが、グランビルアイランドに位置するエミリーカー・アートカレッジで開催された。パネルメンバーとして、スランゲージ、バンクーバーを拠点に活躍するライター/ミュージシャンブラディ・クランフィールド、そしてニューヨークからDJスプーキーを迎え、まったりとした雰囲気でリミックスカルチャーについて語られた。


(left) DJ Spooky, Mario Ybarra, Juan Capistran, and Brady Cranfield at ECIAD

DJたちのクリエイティブ・プロセスに、あらゆる素材をサンプリング、リミックスするという手段がある。これは「アプロプリエイション、ジャクスタポシション、リコンテキスタライゼーション」と言われ、既存するマテリアルをもとに、DJの場合はビートやサウンドに変化を加え、あらたな物を作り上げることを意味する。DJが行うこのプロセスはわたしたちのライフスタイルの中でもあらゆる形で取り入れられている。

例えば、情報社会に生きる私たちがどのようにデータやインフォメーションを活用し、自分達の知識や経験へと発展させるのか。既存する素材、アイディアが各々の思考回路を通ることにより変化をとげる。周囲のまねをしているわけではなく、影響をうけ、自分のものになるよう、よく理解することが重要となる。自分達のヒストリーやカルチャーを築くにも、日々の生活、習慣が重要になり、どこから、また何に影響をうけながら成長しているかを各自認識しなければならない。


Performance by Slanguage

また、インターネットの普及により曖昧になった音楽や画像に対する著作権のボーダーラインについても語られた。特にオーディエンスの大半がアートスクールの生徒だったため、ペインティングやデザインにみられるアプロプリエーションに関しての質問が絶えなかった。

二時間に渡り開催されたディスカッションは、幅広いトピックと4人のパネルメンバーによりあっという間だった。バックグラウンドの異なる彼らのオピニオンをもとに、オーディエンスはさらに思考回路を柔軟にすることだろう…。

I AM THE REMIX
キューレーター:エイドリアン・ライ
会期:2004年1月10日〜2月14日
会場:Western Front
住所:303 E.8th Avenue Vancouver BC, V5T 1S1
TEL:+1 604 876 9343
https://www.front.bc.ca

Text: Aya Takada
Photos: Aya Takada

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