ヘルムート・ニュートン回顧展

HAPPENINGText: Christina Merl

これは、女王様的なピンヒールを履いた女性の写真ではないし、もちろん、ポルノ写真でもない。正真正銘のヘルムート・ニュートンのファッション写真だ。2000年8月に80歳を迎えたのを記念して、彼の妻ジューンが企画し、ベルリン市内の様々な美術館の協力によって実現した展覧会「HELMUT NEWTON – WORK」は、ニュートンの写真との関わりを包括的に紹介する初の試みだ。ここではヌード、ポートレート、広告写真など、モンタージュ作品でもあり実験的で技術的に完璧な彼の作品を数々を見ることができる。


Monte Carlo 1987, Photo: Alice Springs © Helmut Newton

ヘルムート・ニュートンのこの回顧展は、ウィーン近郊のかつてのタバコ工場が、1995年にオーストリアの建築家アドルフ・クリシャニッツの設計で現代美術館へと新生した、クンストハレ美術館で開催されている。1400平方メートルの展示スペースを持つ、主に現代美術作品の展示を行っている美術館だ。


Domestic Nude IX, Die Rothaarige, Los Angeles 1992 © Helmut Newton

ニュートンに話を戻そう。このベルリン生まれの写真家についての逸話は数しれないが、ここでは主な概要を紹介したい。複雑、かつ、奥が深いニュートンの世界。著明な俳優、女優、政治家、ファッションデザイナー、貴族、そしてハリウッドの社交界を撮り続けてきたニュートン。卓越した方法で、ポートレートをアート作品へと昇華させることに関しては、ニュートンの右に出る者はいないと言っても過言ではない。ニュートンこそ、ヌード、ポートレート、そしてファッションという境界線を混じり合わせ、そしてその境界線を無くすことができた、ただ一人の人物なのである。


Serie “Dummies”, Berlin 1994 © Helmut Newton

60年代、彼の作品は刺激が強く、挑発的なものとして評価されていた。しかしそこで見られる美や、技術的な完成度は非の打ちどころがないものばかりである。彼の作品の中に広がる表現の豊かさ、そして明白にユーモアを交えながら社会を見つめるその作品には、ニュートンが既に予期していた21世紀の女性像がある。体からみなぎるバイタリティーを発し、官能的な喜びを味わうのに十分に適した女性を映し出しているのが、ニュートンの写真なのである。


Bauwelt Katalog, Paris 1987 © Helmut Newton

新作と未発表のプロジェクトを中心に発表している今回の展覧会。今回公開されている450点の作品のほとんどが、過去40年間に撮影されたもの。しかし、依頼された作品、自由に撮影した作品、そして個人的なスナップショットのどれをとっても、そこには差異が無いということは注目に値する。彼の作品のいくつかは、時に再度手を入れられ発表されることがあるが、訪れる度にビジターは新しい発見をすることができる。新作と未発表作品を多く集めた本展は、写真愛好家ならば必ずチェックしておくべき展覧会だ。

Helmut Newton – Work
会期: 2002年10月13日〜2003年1月5日
会場:Kunsthalle Krems
住所:5 Museumsplatz, 3500 Krems an der Donau, Austria
TEL:+43 (0)2732 908010
office@kunsthalle.at
http://www.kunsthalle.at

Text: Christina Merl
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Courtesy of Kunsthalle Krems © Helmut Newton

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