フォトエスパーニャ 2002
HAPPENINGText: Terevision Ruiz
マドリッドに夏がやって来た。靴も冬靴からサンダルへ。温度計も20℃から40℃へと、いとも簡単に上昇して行く。カルチャーの温度も、気温の様にぐんぐん上がって行く。何故なら「フォトエスパーニャ」が今年もやって来たからだ。今年で5回目を数えるこのフォトグラフィー・フェスティバルでは今回、マドリッド市内の様々なホール、ギャラリー、美術館で61にも及ぶ展覧会が開催される。カステリャーナ通りがメインエリアだ。
Miwa Yanagi, Sachiko from the series My grandmothers, 2000 © Miwa Yanagi
今年のフォトエスパーニャのテーマは「女性。ジェンダーの観点からのアイデンティティ」。展覧会は2つのセクションに分かれて開催されており、オフィシャルセクションでは、今回のメインとなる展覧会が開かれている。どれも今回のテーマにしっかり沿ったものばかりだ。サイドプロジェクトでは、オフィシャルセクションとは逆で、「女性」というテーマに完璧には沿っていないものの、様々な展覧会が開催されている。
Nan Goldin, Kathe in the tub, West Berlin, 1984, Courtesy of Matthew Marks Gallery. © Nan Goldin
エリオット・アーウィット、リリアン・バスマン、エリーナ・ブロゼラス、ダニエラ・ロッセル…。61にも及ぶ展覧会では、様々な名前を見つけることができる。ナン・ゴールディンは350点の作品を発表。ヘルムート・ニュートンは、彼独自の女性という性を描写する方法で、「WORK」というタイトルの下、400点の作品を発表した。彼の有名なエロティックシリーズ「ビッグ・ヌード」も今回の作品の中に含まれている。
Helmut Newton, Work, Berlin 1994 © Helmut Newton
イランの写真家、アバスは「イスラームのビジョン」という作品を発表。彼は、イスラム教徒の国々を旅しながら、人々の日常を写真に収めている。「十代 vs 老婆」という思春期にフォーカスを当てた作品を発表したのは荒木経惟とヘレン・ヴァン・ミーネ。それとは対照的な「老婆達」は、やなぎみわと山中学の作品だ。ブラジル人のベス・モイーズは「感情の記憶」という作品を発表。男性と女性の相互関係を分析した作品だ。
展覧会だけではなく、今回のフェスティバルでは、ヴァネッサ・ビークロフト、ジョージナ・スター、ピピロッティ・リストといった女性アーティストによる映像作品上映や、ディスカバリーズ・セクションでは、新しい価値観の発見を専門に扱ったりと、様々なアクティビティも平行して行われている。また、ナン・ゴールディン、スーザン・メイゼラス、ペドロ・メイヤー、キャロリー・シュニーマンによる写真ワークショップも開かれることになっている。
最も人気のあるセクションの一つに、フォトマラソンを挙げることができる。6月27日、マドリッドの通りはポラロイドカメラを手にしたアマチュアカメラマンで溢れ返っていた。「女性」の5つの顔を発見するというチャレンジだ。
また、ガイドツアーも行われ、コンデ・ドゥケ文化センターでは、ナイトタイムショーも開催され、最も重要とされるフォトエスパーニャ賞の授与も行われた。今年この賞を受賞したのはナン・ゴールディン。タニット・プラナは、老年期を撮らえた作品でディスカバリー賞を、パコ・ゴメズ・ガルシアは、架空の宇宙空間についての考えを表現して、インジュヴ賞を受賞した。
Photoespana 2002
会期:2002年6月12日(水)〜7月14日(日)
会場:マドリッド市内
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Text: Terevision Ruiz
Translation: Sachiko Kurashina