トラフィック

PEOPLEText: Naoko Ikeno

今月のカバーデザインを制作してくれたのは、フランス、リヨンを拠点にオン/オフラインでのマルチメディアプロジェクトを数多く手掛けるトラフィック。去年立ち上げられたオンラインプロジェクト「シグノテック」では、ユーザーが制作したピクトグラフを保存し、それをギャラリーで展示するなど、インタラクティブとグラフィックデザインの重要性に目を向け活動する新鋭ユニットだ。

まず最初に、自己紹介をお願いします。

トラフィックは、リヨンとボウン(フランスのバーガンディにある)において個人で活動するアーティストのグループです。僕達4人は、グラフィックデザインとマルチメディアについて同じ考え方を持っていて、何かを一緒に造りたいと思っています。ダミエン・グーテとピエール・ロディエールはグラフィックデザイナーで、ジョエル・ロディエはプログラマー、アレクサンドレ・ラエットはインフォグラフィストです

トラフィックでは、どのような活動をしていますか?

僕達は、マルチメディアのプロジェクト(オンライン/オフライン)と同様に伝統的なグラフィズムの事も重要視しています。どんなプロジェクトに対しても興味を持っています。文化的・公共的分野での活動が多いとしても、様々なメディアで本当に沢山のプロジェクトをやっています。フランスでは、個人レベルの活動は脅かされたり馴れ合いになってしまいがちだから、結果も大事にしています。もっと大胆にやって、大きなリスクを背負う企業もありますが、彼らの小さな組織の中でも、グラフィックデザインとマルチメディアの重要性に目を向けているところは、わずかしかないと思います。

トラフィックは、どのようにして結成されたのですか。

同じ町(ボウン)出身の僕達は昔からの知り合いでした(15年前から、一緒に遊んでいたんですよ!)。それで、フリーで活動するグループを作りたいと思っていた時に再会して、 1997年にトラフィックを始めたというわけです。発足当初から僕達のスタジオはグラフィックデザイン(ピエールとダミエン)とマルチメディアプログラミング(ジョエル)の結合を基軸にしていました。これらの分野の結合を通じて僕達ができることを考えた時に出てきた初めのアイディアが真の創造を目指す道である、「数のメディア」ともいえるウェブを使うことだったんです。

インスピレーションやアイディアはどこから来るのですか?

僕達のインスピレーションとアイディアは、それぞれのカルチャーの背景によって異なります。マルチメディア、ア-ト、プログラミング、ゲーム、ビデオゲ-ム、数学、出版などなど。こうしたそれぞれの違いが「力」になるんだと思います。自分自身のビジョンを持ち寄ることで、豊かに成長していけるんです。

インタラクティブデザインで一番大切だと思うことは何ですか?

インタラクティブであるということが僕達のマルチメディアプロジェクトの基本です。グラフィックデザインがインタラクティブの上に覆いかぶさってしまわないように常に心掛けています。インタラクティブがグラフィックデザインを生み出すというのが理想です。

オン/オフラインで広く活動されていますが、展覧会などのプロジェクトについて教えて下さい。

オンラインであるかオフラインであるかというのは技術的な面での違いはありますが、僕達にとってあまり関係ありません。マルチメディアは、これからのクリエイションがまさに向かっていく道であるとは思いますが、従来のメディアほど多様性に富んだものではないでしょう。

シグノテック」というオンライン・プロジェクトを去年立ち上げました。インタラクティブと「トレース」(そのウェブサイトを訪れた人はみんなピクトグラフを作らずにいられない)という概念のもとに活動しています。ピクトグラフを作るためのツールも開発してきました。オンラインで保存された1400もの画像は、フランスのリヨンにある「テーターズコンテンポラリーアートギャラリー」に展示されています。

また、PCとMACのフリーダウンロードのフォントを作るために250のピクトグラフを制作しました。フランス文学の展覧会のために「プチ・エクリッツ・レティキュレイアズ」という新しいオンラインアプリケーションを作りました。インタラクティブの部分でのコンセプトは、沢山のユーザーによる文書を集めて創造するということです。もうすぐそれらの文章をまとめたポスターを出したいと思っています。

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