スクイッドスープ
PEOPLEText: Mayumi Kaneko
今月のカバーデザインを制作してくれたのは、イギリス・ロンドンのマルチメディアデザインシーンで活躍するデザイナー/アーティスト集団「SQUIDSOUP」(スクイッドスープ)。メジャーなクライアントのウェブサイト/CD-ROMなどを手掛けるかたわら、自身のウェブサイトでは、実験的でインタラクティブな作品を数多く発表している。
まずはじめに、自己紹介をお願いします。
スクイッドスープ は、インタラクティブデザイナー、アーティスト、ミュージシャンの集まりで、インタラクティブデザインにおける思想の制限を打ち砕くことを目的としています。
もともとは、1996年にミドルセックス大学で出会ったアントニー・ロウとジェイムス・レーンによって設立されました。現在は、技術的、創造的にメディアの境界線を押し上げるために動くことができる場所となっています。
スクイッドスープでは、どのようなことをやっているのですか?
サウンド、フィルム、ビデオ、アニメーション、フォトグラフィー、タイポグラフィー、グラフィックデザインを手がけています。これらの要素を融合し、革新的かつ適切な方法でインタラクティブメディアが得ることのできる可能性を確実なものにしています。
特に、ユーザーがインタラクティブなものを経験することができる環境を作り出すことによって、ユーザーが経験するものに雰囲気を与えることに興味があります。この哲学は、全てのインタラクティブメディアのデザインプロセスに応用されるものだと信じています。
最近の活動について教えてください。
現在は、ユーザーが、革新的でエキサイティングな経験を作り出すことができるソフトウェアを開発中で、特に、マルチユーザーの広周波数帯域を適応することに力を入れています。
ウェブデザインの仕事をするようになったきっかけは何ですか?
周波数帯域とプロセッサースピードが高まるにつれて、オフラインのデジタルメディアでのデザインからごく自然に前進して行った結果、ウェブデザインを手掛けるようになりました。
これまでに最も印象に残っているプロジェクトは何ですか?
初期のプロジェクトのひとつに、CD-ROM「DAWN」があるのですが、これは、サウンドをベースとしたインタラクティブ性の可能性を探求し、拡張するためにデザインされたもので、その時代では、概念的にも技術的にもかなり最先端なもので、QTVRとリンクしていました。サウンドをナビゲーションツールとして使った実験自体もかなり新しく、「DAWN」のメインとなるアイディアのいくつかが、今のメインストリームに出現し始めているのを目にするのは、面白いです。CD-ROMの1セクションを、ブリティッシュテレコムのADSLトライアル版に応用して使いました。
最近のメジャーなプロジェクトとしては、まだ発展段階なのですが、「アルティチュードゼロ」というものがあります。これは、「DAWN」のアイディアをオンライン環境に応用したものになっています。ユーザーは、コンピューターだけではなく、他のユーザーとも相互に作用し、本当の意味でエキサイティングなライブパフォーマンスを作り出すことができるのです。
ウェブデザインで最も重要なことは、何だと思いますか?
絶えず周りを見回し、技術的、創造的に、発展段階で何が起こっているのかを注意して見ること、現在ウェブで起こっている陳腐なもののはるか彼方で同じようにメディアに興味がある他の人達とアイディアをコミュニケートすることが重要だと思います。
作品を制作するうえで心掛けている点は何ですか?
自分達の全作品を通して心掛けていることは、ユーザーを刺激することです。
今回、SHIFTのカバーデザインを制作していただいたのですが、何をイメージし、どのように制作したのですか?
非常にシンプルでクリーンなものを作りたいと考え、それにほんの少しのひねりを加えました。そのような特定の目的があるものをやるのは面白かったです。
ロンドンについてお聞きしたいと思います。何か興味深い動きはありますか?
日々自分達が手がけているメディア以外のものからインスピレーションを受けることが多いようです。最近は、ヘイワードギャラリーで開催された「FORCE FIELDS 展」、テートモダン、ICAサイバーサロン、ファブリック、東ロンドンなどが興味深いです。
ロンドンで活動することについてどう考えていますか?
根本的にレアなイベント、人、スペースが増えて来ていて、自己中心的な都市の浅薄さとバランスがつり合うようになってきたと思います。
日本についてはどう思いますか?
日本のカルチャーのある一面に強く惹かれます。グラフィックから食べ物、伝統的な建築物、絵画など全てのものに存在する控えめさとシンプルさは、すごく魅力的です。
今興味のあることは何ですか?
「アルティチュードゼロ」の第2弾を制作するために必要な資金を得ることです。
最後に、今後の予定や、これからやっていきたいことなどを教えてください。
今後は、興奮と刺激が自分達の作品を発展させ続けて行くことでしょう。技術の進歩と「メインストリーム」の考え方における段階的な移行と共に、自分達のやりたい仕事が容易にできるような時代がやってくると思います。
squidsoup
住所:59 Rivington St., London EC2A 3QQ, UK
TEL:+44 (0)20 7729 7226
https://www.squidsoup.com
Text: Mayumi Kaneko