「ビットストリームス」展

HAPPENINGText: Rei Inamoto

もうひとつの注目すべき作品は、ジム・キャンベルによる「Ambiguous Icon(曖昧なアイコン)#5(ランニング・フォーリング)」だ。その作品は「明滅する赤い光のプログラムされたパターンのLEDディスプレイによって構成」されている。男性か女性か見分けのつかない人物の模様が走り続け、時に転び、また立ち上がるというもの。


“Ambiguous Icon #5 (Running, Falling)”, Jim Cambell

この作品で注目すべき点は、曖昧だが非常に喚情的なシンプルさだ。この動きのあるLEDディスプレイの静止フレームを見ても、その形を認識するのは難しい。動画が作品に関連性を与え、人間の目を「その人物のイメージを明らかにするためにピクセル間の失われた情報で満たす」のだ。


Installation view of BitStreams. Photo: Jerry L. Thompson Courtesy of the Whitney Museum of American Art

この展覧会を独特で受け入れられるものにしている要素のひとつは、サウンドアートを包括していることだ。アートの形としてのサウンドは新しい観念ではない。だが、美術館やギャラリーをセッティングする上では、あまり表現されてこなかった。今回の展覧会に参加しているアーティストの半数はサウンドアーティストであり、デジタルテクノロジーを使って実験的音楽を創作/制作/歪曲/演奏している。


Photo: Rei Inamoto

LOT/EK制作のリスニングセンターでは、垂直に立てられた蛍光灯を一列に配置。壁はわずかに傾斜していて、泡状の柔らかい物質で覆われている。「リスニング中は壁に寄り掛かって下さい」という標示により、観客がリラックスしてアートを体験することができるようになっていた。

この、素晴らしい作品を集めた「ビットストリームス」は、見る価値のある展覧会だ。

BitStreams
会期:2001年3月22日(木)〜6月10日(日)
会場:Whitney Museum of American Art
住所:99 Gansevoort Street, New York, NY 10014
TEL:+1 212 570 3600
https://whitney.org

Text: Rei Inamoto
Translation: Mayumi Kaneko
Photos: Courtesy of the artists and Whitney Museum of American Art

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