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プロジェクト40

HAPPENINGText: Matt Owens

5月27日から30日までの4日間、ハイパー・アイランドで開催されたプロジェクト40と題されたデザインワークショップに参加するため、世界中から40人にも及ぶデジタル分野で活躍する人達がスェーデンのカルスクルーナに集結した。ハイパー・アイランドの卒業生、リサ・リンドストロム、ヘンリック・カールソン、マリア・ノルストルムの3人が中心となり、ハイパー・アイランドの学生やスタッフと共にスピーカーやワークショップのコーディネートなど全てを引き受け、このイベントを実現させた。

1日目、32人の参加者と8人のスピーカー達は、カンファレンスの前に送られてきたプログラムガイドを見ただけで、何が起ころうとしているのかが全く分からない状況だった。ワークショップがどのようなものになるのかさえ分からず、参加者の間では緊迫感が漂っていた。プロジェクト40のコーディネーター、グレッグ・ヘンリックスがワークショップのテーマとして「HIV」と「AIDS」を提案したのだが、参加者/スピーカーの中には、4日間で真剣に取り組むには複雑で重すぎる問題だとして、そのテーマに異義を唱える者もいた。

『私達は皆特権のあるデザイナーであり、特権のある仕事をし、ここは特権のある学校だ。なぜ何のリサーチや知識なしに、「HIV」と「AIDS」に関するデザインソリューションを展開しなくてはならないのか』ある参加者が声高に叫んだ。確かに、4日間という厳しいスケジュールでお互いを理解し、社会的に大きな問題に取り組むことは、プロジェクト40のテーマとして掲げられた「デザイン」と「プロセス」というテーマを曇らせることになる。

参加者とスピーカーは、4つのチームに分けられ、各チームにミーティングルームと、アイディアを展開する限られた時間が与えられた。ミーティングの間、プレゼンターがインタラクティブ、タイポグラフィー、モーション、サウンドに関するレクチャーを行い、クラム・デザインのリード・クラムが、MITの学生達によるプロジェクトと、彼が現在手がけているプラダのインタラクティブ作品を発表した。

サンフランシスコのメソッドのマイク・アビンクは、タイポグラフィーに関するプレゼンテーションを行い、それがデザインとクリエイティブ性に与える影響について発表した。階級、スペース、力学、構造など、根本的なタイポグラフィーの決まり事に関する説明は、インフォメーションデザインを結果としてスマートでクリアーにする伝統的なタイポグラフィー原理に関しての新しい見解を与えてくれた。これらのタイポグラフィー探求は一種の復習ではあるが、伝統的なタイポグラフィーの原理が、どのようにオンラインメディアに適応されるかを理解するインスピレーションとなった。

1日目の終わりには、4チームによるプロジェクトのテーマに関するブレインストーミングセッションが行われた。過去15年間に書かれたHIVとAIDSに関する本が用意されたが、リサーチする時間もなかったデザインチームにとっては、過去に解明されたものを研究する他なかったのだ。多くのチームが、限られた時間の中で実際にどうすればいいのか、どのようにその大きな問題に取りかかればいいのか途方に暮れ、特にHIVとAIDSが最も蔓延している南アフリカに的を絞ってこの問題に取り組もうとしていた。だが、このプロジェクトによって何らかの形で一人でも影響を与えることができるとすれば、この問題に気付かせ、貢献できるようなものにしようということで皆一致した。

チームのディスカッションは、プロジェクト40の厳しいスケジュールによってしばしば中断を余儀なくされた。多くの時間と費用が、フードサービスと、参加者全てが必要なもの全てを得られることを確実にするために費やされた。4日間の会期中、テーマについて話し合い、アイディアを生み出す十分な時間がないことに不満の声を口にする参加者も少なくなかった。島に浮かぶハイパー・アイランドに上陸するためには、スウェーデン軍隊の基地を利用する他なく、それは面白い経験だっったが、同時に、重要なテーマに取り組むために、どこに最も時間とエネルギーを費やせばいいのかを理解するには難しい場所だったのも事実だ。

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