プロジェクト40

HAPPENINGText: Matt Owens

最終日には、丸一日各チームによる「コンセプトの証明」の発表が行われた。チーム3のアッシュ・アーネットとピーター・チョウは、実に明瞭なオンラインアイディアを発表し、オンラインの独自性がいかにしてコミュニティやコンタクトインフォ、AIDSの蔓延を表すインタラクティブ・マップと結びつくことができるかというプレゼンテーションを展開した。また、AIDS予防のための寄付やリサーチを押し進める個人や制度に適応されるアイディアも発表した。チーム1も、オンライン上の個人による自覚を広めるために利用できる象徴的なメカニズムとしてのEメール「ウィルス」について説明した。実際のウィルスへの象徴的なリンクとしてのEメールウィルスは興味深かった。

チーム1のデヴィッド・ライマイク・アビンクは、「MY TWO CENTS(僕の2セント)」というコンセプトサイトを発表。そのサイトでは、誰もが特定の金額を特定の組織に寄付することができる。それだけではなく、サイトの構成要素としてインタラクティブマップがあり、寄付者は実際に寄付金がどこへ行くのかを「目で見る」ことができる。さらに、CNNなどの関連サイトや世界中のパーソナルホームページにこの装置をはめ込むことができ、一つのウェブサイトだけでなく、より大きな規模で効果が期待できることになる。皆寄付をしたがっているのだが、それをしないのは、その寄付金がどこに行くのか全くわからないからだということから生まれたこのアイディアは、AIDSだけでなく難民救済など他のケースにも適応可能。チーム1のコンセプトは斬新で、現実的で実現可能なプロジェクトだ。

チーム4は、よりローカルで、また世界的なレベルで作用するアイディアを展開。トム・ループが、黄熱病の突然発生が、ロンドンの水道本管1本から発生したものだということを、死亡者をマップ上で点で結ぶことによって正確に示すことができるということを発表し、同じ方法が、HIVが最初に人類に猛威をふるった1959年から現在までのAIDSの蔓延にも適応可能だと説明した。世界地図上で、AIDS患者の広がりを点で結ぶことにより、AIDSが流行していく様子を世界レベルで視覚的に見ることができる。

チーム2(僕のチーム)は、他と比べて少し異端だった。皆をハイパー・アイランドのメインホールに集め、サイモン・ウォーターフォールが、皆に「研究室」に入るよう説明した。この研究室とは、ハイパー・アイランドの1階にある、3.5メートル四方の男子トイレのこと。40人もの人が男子トイレに入るには、決して簡単ではないが、皆を無理矢理押し込み、やっと全員が入り、ドアが閉まった。天井に映像が映し出され、と同時に、腹の底にひびくような音楽が爆音で始まった。映像では、AIDSの流行に関する概要と共にAIDSに苦しむ患者数が紹介された。騒がしい音楽と狭苦しいスペースは心地良いはずがなく、密着感とお互いの体温を感じることによって、ある意味流行の即時性を反映する。プレゼンテーションは、FTM(性同一性障害)の紹介で巻を閉じた。

AIDSの危機は、ここ15年程で世間に広く知られるようになり、AIDSキルトや20キロチャリティマラソンなどは非常に貴重なものではあるが、最も助けを必要とする地域にとっては、何の解決にもなっていない。AIDS患者の70%がアフリカにいるというのは事実だが、世界的な法人は、その現状を変える経済的な力を持っている。AIDSによって何百万人もの人が死亡し、彼等がそれを変える経済的な力を持っているということを知ってもらう必要がある。これこそが、企業や個人を本当の意味で動かし、経済を動かすために必要なことなのだ。フィリップ・モリスやユニリーバなどの大企業に的を絞り、製品にステッカーを貼り、無知な大衆に「AIDS」を知ってもらうことは、決して難しいことではないのだ。

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