プロジェクト40

HAPPENINGText: Matt Owens

二日酔いでげっそりした参加者とスピーカーは、皆椅子の上に立って空中に手を投げ出し、カンファレンスルームの遠くを見ようという、アティックのジェームス・ソマーヴィルのリクエストによって目覚めさせられた。彼のデモンストレーションは、興味深かった一方で、チームのメンバーに、何を言っているんだというおかしな怒りを感じさせた。ソマーヴィルは、元フットボールの選手であり、現在は世界で最も成功しているデザイン会社の代表として、スピーカーと参加者を威嚇する存在であり、今回の彼のプレゼンテーションでは、数々の印象的なクライアントワークを手がけるアティックの成長と進化への努力を知ることができた。ソマーヴィルは、世界中にあるオフィスの「資金源」として、今だに「くだらない仕事」もやらなければならないことがあると述べた。良い仕事をして金を稼ぎ、自分のやることに満足するのは、なかなか難しい。彼がイギリスに戻る前に彼のプレゼンテーションを見ることができたのは、参加者全員にとってとてもラッキーだった。

もう一人の強者、レーザーフィッシュ のプレゼンテーションは、サウンドデザイナー、ゲビン・シェパードによって行われた。レーザーフィッシュに最近加わったシェパードのサウンドに関する専門知識は、学生時代にベースをプレイしていたことから生まれ、その後ブロードキャストとオンラインのためのキーボードやシンセサイザーの探求へと発展していった。音調やテンポに関する彼の洗練されたレベルとビジュアルに感情を与える能力は、驚くべきものだ。シェパードは、オーディオビジュアルがいかに重要なものかということを強調するため、サウンドなしとサウンド付きの作品両方を発表し、オンラインでサウンドをデザインすることのクリエイティブな制限についても垣間見ることができた。シェパードの才能が、ウェブ上で可能となるもの以上に優れているということは明白で、レーザーフィッシュが今後彼独特の能力をいかに伸ばしていくかが興味深い。

最後のプレゼンターとして、僕はインタラクティブデザインシーンにおける「カルチャー」と「鍛練」の部分について少し語った。僕がこのプロジェクト40に行くことができた唯一の理由は、ヘンリック・カールソンとのコミュニケーションがあったからだ。ずいぶん前に彼のサイト、モジュール8を見て、彼がニューヨークに来た時にはちょくちょく会ったりしていた。プレゼンテーションでは、いくつか実験的な作品を紹介し、オンラインでの経験が、いかにクライアントに伝えることができるアイディアや機能的な作品例となり得るかについて説明した。かなりの割合で良いアイディアというものは、時間がない、または実現できる可能性を見極めるアイディアを練るための計画がないという理由で、ホワイトボード上で消されていく。さらに、デザインコミュニティーの「カルチャー」にも触れ、例として、でき上がったばかりのCODEXシリーズ2のCD-ROMを紹介し、独自に探求し、物事を発見し、結果としてメディアを押し進めている人達がいるということを説明した。

プロジェクト40に出席したスピーカーと参加者の半数以上は、自分のパーソナルサイトを持っているにもかかわらず、それらの情報をまとめたものはひとつもなかった。僕のプレゼンテーション後の昼休みの間、各参加者の所へ行き、名前とURLを集めてまわった。ある意味で、プロジェクト40は大好きなデザイナーに会うことができる葬式のようなものだった。皆がお互いに話しかけ、「君の作品、ほんとに好きなんだ」と言いたげにしていたが、スピーカー達の間では、無気味に迫り来るAIDSプロジェクトのため緊迫感が漂い、プロジェクトチーム以外では、お互いを知るには時間がなさすぎたようだ。

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