バーニングマン 1997
HAPPENINGText: Ammon Haggerty
アナーキーとは「無政府状態」とある。人によってはアナーキーのもつ意味が、法則や秩序のない恐ろしく混沌としたところにあると考えるだろうが、ネバタ砂漠に集まった1万5千人の人達にとってはアナーキーが創造の根源なんだということを悟ったに違いない。限りない可能性を秘めたユートピア、またコミュニケーションと現実化のプロセスといえるアナーキー。
「バーニングマン」は10年も前にサンフランシスコのビーチからはじまったフェスティバルで、今ではアーティストやパフォーマーも多く集まる大きなフェスティバルとなっている。一週間程続くこの奔放なパーティーを経て、最終日にはネオンでライトアップされた15メートルもあるバーニング・マン(木製の人型のオブジェ)が燃やされるというものである。
「バーニングマン」というアイディアは自己や人類のもつエゴの燃焼を意味しているが、その解釈は人それぞれの自由だ。
このイベント誰でも参加自由だが、二つのルールがある、「観客はいないこと」「他人の行動を邪魔しないこと」としているが参加者全員に周知徹底しているわけでは、もちろんなく、あくまでそのような雰囲気で行なわれればいいという程度だ。
一般に、社会から見捨てられた(見捨てた)連中が、人里離れた砂漠のど真ん中で、馬鹿騒ぎをしいる、といった見方をされているが、実際は、社会のあらゆる階層の人々が参加している。『単に、家の近くでこんなことしたらヒンシュクをかってしまってできないことをここでする、といった程度でもかまわない。』とは主宰者であるラリー・ハーヴェイの弁だ。
今年、特に気に入ったインスタレーションを幾つかあげると、24メートルもある中世風の彫像「イシュター殿堂」や渦巻き状のアンモナイトの形をしたテント。あと、12面ある球体で、その中央からレーシング用イスが吊され、周りにはスピーカーが備え付けられているものなど。
そしてフェスティバルでメインとなるひとつは奇妙な乗り物の数々。リモコンで動くテーブル付のモーターカウチ、シャーク・カーやロケット噴射のゴーカート、サウンドシステム付のモーターカウチ。
そしてフェスティバルでメインとなるミュージックはライブ、DJ。今年圧倒的だったのが、ゴア・トランス。メインとなったステージではサンフランシスコからゴア・ギルやCCC等がプレイした。
バーニングマンでいちばん最高だったのが最終日のすべてが燃やされ、混沌が支配したときだ。天高く燃え上がる火に移される「ボディ」の数々。周囲を取り囲むサウンドシステム、火の音のうねり。そして人々が「BURN IT」と叫ぶその瞬間だ。
バーニングマン 1997
会期:1997年8月27日〜9月1日
会場:Hualapai Playa, Nevada
TEL:415-985-7471
http://www.burningman.com
Text: Ammon Haggerty
Translation: Satoru Tanno
Photos: Ammon Haggerty