テート美術館 - YBA & BEYOND 世界を変えた90S 英国アート

HAPPENINGText: Alma Reyes

1990年、ダミアン・ハーストらによって企画されたグループ展「現代医学」は、科学の進歩が人間らしさや身体、精神に与える影響に言及した。第4章「現代医学」に展示されているデレク・ジャーマンの《運動失調-エイズは楽しい》(1993年)は、平衡感覚や筋肉の協調運動が失われる神経疾患「運動失調(アタクシア)」を表現している。映画監督であり同性愛の権利活動家でもあったジャーマン自身も、視力障害を抱えていた。サイケデリックな色彩、線、筆致が混沌と混ざり合うこの作品は、彼が自身の指を使ってキャンバスに直接塗料を塗り伸ばしていたことを示している。


コーネリア・パーカー《コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ》1991年 Photo: Tate © Cornelia Parker, Courtesy Frith Street Gallery, London, Tate Collection

「スポットライト」のコーナーでは、天井までそびえ立つ巨大なインスタレーションが目を引く。これは、英国陸軍によって庭の小屋ごと爆破するよう依頼し、その無数の残骸、破片を組み上げたものだ。コーネリア・パーカーの《コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ》(1991年)では、たった一つの電球がこれらの断片を照らし、壁や床、天井にダイナミックな影を落としている。これは、人間の爆発へ執着や、宇宙の始まりに関するビッグバン理論に対するパロディでもあるだろう。パーカーは、この作品で破壊と創造の両方の領域を見事に具現化した。


マイケル・クレイグ=マーティン《知ること》1996年 © Michael Craig-Martin. Courtesy the artist and Gagosian, Tate Collection

最終章「なんでもないものから何かが生まれる:身近にあるもの」では、人間の経験や知覚を掘り下げながら、物とそこに含まれる意味との関係性を考察するような制作に着目する。日常的な素材を予期しないサイズやスケールに変貌をさせ、最小限の物理的な介入で最大限のインパクトを与えるというアートの可能性を改めて提示している。マイケル・クレイグ=マーティンの鮮やかなアクリル絵画《知ること》(1996年)は、梯子、消火器、バケツ、椅子といった物体に対し、通常見られるよりも大きく、あるいは小さく描くことで私たちが抱く視覚的な印象を揺さぶっている。

本展は、歴史的な背景に基づき、当時の活気あふれる、文化的で多様な表現を包括的に捉えることで、絶えず変化する世界における、アートの歴史的意義を伝えてくれる。

テート美術館 - YBA & BEYOND 世界を変えた90s 英国アート
会期:2026年2月11日(水・祝)~5月11日(月)
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:火曜日 *但し5月5日(火・祝)は開館
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.ybabeyond.jp

※2026年6月3日(水)~9月6日(日)京都市京セラ美術館に巡回。京都展は東京展と一部展示内容が異なります。

Text: Alma Reyes
Translation: Hoshino Yoshihara
Photos: Tate © the artists, Tate Collection

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