越後妻有アートトリエンナーレ 2025

HAPPENINGText: Alma Reyes

レストランの窓から見える傾斜地に作られた水田に、イリヤ&エミリア・カバコフの《棚田》と題された、伝統的な稲作の情景を詠んだテキストと、対岸の棚田に農作業をする人々の姿をかたどった彫刻が配置されている。農舞台内の展望台から見ると、詩と風景、彫刻作品が融合した形で現れる。


イリヤ&エミリア・カバコフ《棚田》 Photo: Osamu Nakamura

また、農舞台周辺には、草間彌生の巨大な色彩豊かな花の野外彫刻作品《花咲ける妻有》も展示されている。これは妻有の太陽の光と緑豊かな森に捧げられた作品で、世界各地で野外彫刻作品を設置している草間にとっても特にお気に入りの作品だそう。アートインスタレーションの色彩豊かな作品を楽しんでいる間、訪問者は田んぼで働く村民や大地で遊ぶ子供たちの姿も観察することができる。このプロジェクトは、農地に伝統的な豊かさと共鳴する重要な活力をもたらした。


草間彌生《花咲ける妻有》 Photo: Osamu Nakamura

拠点施設整備や空き家、廃校の再生・活用プロジェクトを数多く進める本芸術祭は、十日町にある放置されていた清水小学校を妻有アーカイブセンターに改修した。ワーク・イン・プログレスと呼ばれるプロジェクトを組み、現地で作品制作されることが特徴の川俣正は、約3万冊の書籍を収蔵する大規模なアート図書館と、フェスティバルや地域密着型アートプロジェクトに関連する文書や資料のアーカイブを組み合わせた多目的施設を考案。旧体育館内には川俣のスタジオギャラリーが設置されている。


川俣正《妻有アーカイブセンター》 Photo: Keizo Kioku

芸術祭の拠点施設、越後妻有里山現代美術館 MonETは、唯一無二のサイトスペシフィックアートの美術館で、常設作品と季節限定作品を展示している。半屋外型のコンクリート廊下とガラス窓に囲まれた特徴的な建物は、原広司+アトリエ・ファイ建築研究所が設計。レアンドロ・エルリッヒ、名和晃平、カルロス・ガライコア、クワクボリョウタ、森山大道など、選りすぐられた作品群は、越後妻有の気候的、物理的、文化的特性を反映している。夏のプログラムでは、回廊にてBankART1929のディレクションによる企画展「こたえは風に吹かれている」を開催。中庭の池を中心に、音を奏でる作品や風に誘われてそよぐ作品などによって、オーケストラのように一体化した空間を創出する。

この一日かけての冒険は、アートを楽しむだけでなく、自然の恵みに完全に浸る、まさに心身ともに満たされる体験だ。今回紹介したのはツアーの一例だが、シーズン中に開催される複数のツアーから、自身の好みに合ったものを選択し、ウェブサイトから予約が可能となっている。

越後妻有アートトリエンナーレ 2025
会期:2025年7月19日(土)〜11月9日(日)
開催時間:10:00〜17:00(10・11月は16:00まで)
※各作品によって公開日・公開時間が異なる場合あり
定休日:祝日を除く火・水曜日
開催地:越後妻有地域(新潟県十日町市、津南町)
https://www.echigo-tsumari.jp

Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado
Photos: Courtesy of NPO Echigo-Tsumari Satoyama Collaborative Organization

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
マリアンナ・ドブコウスカ
MoMA STORE